https://www.bbc.com/japanese/49080320
薬が効かないマラリア原虫、ヴェトナムやタイなどで広がる
7時間前
ジェイムズ・ギャラガー、健康・科学担当編集委員、BBCニュース
マラリアを引き起こすマラリア原虫で、従来の治療薬が効かない種類が東南アジアで急速に増えている。イギリスとタイの研究者たちが指摘している。
このマラリア原虫は、カンボジアからラオス、タイ、ヴェトナムへと生息地を広げている。そこではマラリア感染患者の半数が、最初に投与された治療薬では回復できていない。
研究者たちは、薬に耐性のある種類がアフリカにも広がるという「恐ろしい見込み」を示唆する発見だと述べている。
ただし、影響は当初考えられたほど深刻ではないと、専門家たちはみている。
何が起きている?
マラリアの治療薬には、2種類(アーテミシニン、ピペラキン)の複合薬が使われる。
カンボジアでは2008年に、この複合薬の使用が始まった。
ところが2013年までに、両方の薬に対して耐性をもつように変異したマラリア原虫が、同国西部で確認された。
英医学誌ランセットの感染症版に掲載された最新の研究は、東南アジア全域の患者から採取した血液のサンプルを分析。
マラリア原虫のDNAについて調べたところ、薬に耐性のある種類はカンボジアで広範囲にみられたほか、ラオスやタイ、ヴェトナムでも発見された。
また、変異が進み、問題がさらに悪化しているケースも確認された。
地域によっては、マラリア原虫の80%が薬への耐性をもっていた。
「この種類は広がりを見せ、悪化している」と、ウェルカム・サンガー研究所のロベルト・アマト博士は、BBCニュースに話した。
マラリアは不治の病となるのか?
そんなことはない。
ランセットに掲載された別の研究では、患者の半数で、標準的な治療法の効果が認められなかった。
しかし、その代用となり得る薬がある。
英オックスフォード大学・臨床研究ユニット(ヴェトナム)のトラン・ティン・ヒエン教授は、「耐性の広がりと度合いからすると、代わりの初期治療法を急いで採用する必要があることは明確だ」と話した。
代替の治療法としては、アーテミシニンと一緒に別の薬を使うことや、より強力な3種類の複合薬を使用することが考えられる。
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