https://www.zaikei.co.jp/article/20190913/530654.html
早稲田大学、防衛医科大学、奈良県立医科大学の共同研究チームは、人工血液を用いて、大量に出血させたウサギの救命に成功した。
研究チームでは、交通事故等によって大量出血した場合等の救命率の向上に貢献できるのではないかと期待している。
■人工血液とは?
研究チームが使用したのは、酸素運搬ナノ粒子(人工赤血球)と止血ナノ粒子(人工血小板)と呼ばれるものだ。
共に、ナノサイズ(1nmは1mmの100万分の1)のカプセルで、リン脂質という私達の細胞膜と同じ材料でできている。
研究チームはこのカプセルのなかにヒトヘモグロビンとアデノシン2リン酸を詰め込んだ。
ヒトヘモグロビンを詰め込んだものが酸素運搬ナノ粒子で、アデノシン2リン酸を詰め込んだものが止血ナノ粒子だ。
この酸素運搬ナノ粒子には赤血球と同等の酸素運搬能力があるという。
また、止血ナノ粒子は、それ自体が傷口に集まって止血すると共に、アデノシン2リン酸の働きによって血小板による止血を促進する働きもあるという優れモノだ。
酸素運搬ナノ粒子の開発は奈良県立医科大学が中心になり、止血ナノ粒子の開発は早稲田大学が中心になった。
■実験の内容
研究チームは、血小板を少なくして出血を止まらなくしたウサギの肝臓を傷つけて大量に出血させた後に、上記の人工血液を輸血した。
その結果、10羽中6羽の救命に成功した。
ちなみに通常の輸血の場合には10羽中7羽が救命された。ただし、特に処置を施さなかった場合には1羽も救命されなかった。
人工血液の輸血によって通常の輸血と同等の救命効果が得られたと研究チームでは考えている。
輸血用の血液の保存は非常に難しい。
赤血球だと最適な温度(2〜6度)で保存しても20日程度しかもたない。
血小板に至っては、最適な温度(20〜24度)で激しい振動を加えながら保存しても4日程度しかもたない。
そのため交通事故等で緊急に大量の輸血用の血液が必要な場合には、赤血球、特に血小板が、不足しがちだ。
しかし、酸素運搬ナノ粒子は常温にて1年以上保存可能で、しかも、血液型を問わずに輸血できる。
また、止血ナノ粒子も常温で1年間保存できる。
研究チームでは、交通事故等で緊急に大量の輸血が必要な場合等に、輸血用の血液の不足を人工血液によって補うことで、
救命率の向上につなげることができるのではないかと期待している。
なお論文は、輸血学雑誌Transfusionに2019年7月1日付(現地時間)でオンライン掲載された。
早稲田大学、防衛医科大学、奈良県立医科大学の共同研究チームは、人工血液を用いて、大量に出血させたウサギの救命に成功した。
研究チームでは、交通事故等によって大量出血した場合等の救命率の向上に貢献できるのではないかと期待している。
■人工血液とは?
研究チームが使用したのは、酸素運搬ナノ粒子(人工赤血球)と止血ナノ粒子(人工血小板)と呼ばれるものだ。
共に、ナノサイズ(1nmは1mmの100万分の1)のカプセルで、リン脂質という私達の細胞膜と同じ材料でできている。
研究チームはこのカプセルのなかにヒトヘモグロビンとアデノシン2リン酸を詰め込んだ。
ヒトヘモグロビンを詰め込んだものが酸素運搬ナノ粒子で、アデノシン2リン酸を詰め込んだものが止血ナノ粒子だ。
この酸素運搬ナノ粒子には赤血球と同等の酸素運搬能力があるという。
また、止血ナノ粒子は、それ自体が傷口に集まって止血すると共に、アデノシン2リン酸の働きによって血小板による止血を促進する働きもあるという優れモノだ。
酸素運搬ナノ粒子の開発は奈良県立医科大学が中心になり、止血ナノ粒子の開発は早稲田大学が中心になった。
■実験の内容
研究チームは、血小板を少なくして出血を止まらなくしたウサギの肝臓を傷つけて大量に出血させた後に、上記の人工血液を輸血した。
その結果、10羽中6羽の救命に成功した。
ちなみに通常の輸血の場合には10羽中7羽が救命された。ただし、特に処置を施さなかった場合には1羽も救命されなかった。
人工血液の輸血によって通常の輸血と同等の救命効果が得られたと研究チームでは考えている。
輸血用の血液の保存は非常に難しい。
赤血球だと最適な温度(2〜6度)で保存しても20日程度しかもたない。
血小板に至っては、最適な温度(20〜24度)で激しい振動を加えながら保存しても4日程度しかもたない。
そのため交通事故等で緊急に大量の輸血用の血液が必要な場合には、赤血球、特に血小板が、不足しがちだ。
しかし、酸素運搬ナノ粒子は常温にて1年以上保存可能で、しかも、血液型を問わずに輸血できる。
また、止血ナノ粒子も常温で1年間保存できる。
研究チームでは、交通事故等で緊急に大量の輸血が必要な場合等に、輸血用の血液の不足を人工血液によって補うことで、
救命率の向上につなげることができるのではないかと期待している。
なお論文は、輸血学雑誌Transfusionに2019年7月1日付(現地時間)でオンライン掲載された。