【ジュネーブ=細川倫太郎】世界貿易機関(WTO)は1日、中国が米国に対し年間最大で36億ドル(約3900億円)の報復関税を課すことを認める判断を下した。米国が対中関税を巡るWTOの判断を順守していないとして、中国が対抗措置を申請していた。今回の判断を受けて中国が報復関税を発動すれば、米中貿易戦争が一段と激化するのは必至だ。
中国は年70億ドルの報復関税を求めていたが、WTOはその半額程度が妥当と判断した。月内にもWTOの紛争処理機関(DSB)の会合の議題として取り上げられ、正式に承認される。
中国はオバマ前米政権時代の2013年12月、米国が太陽電池や油井管などの中国製品に対して実施している反ダンピング(不当廉売)対抗措置は不当だとして、WTOに提訴した。WTOの第一審にあたる紛争処理小委員会は16年10月、米国の措置はWTO協定違反にあたるとの報告書をまとめ、是正を求めた。
しかし、米国は措置を撤廃しなかったことから、中国は18年9月、報復関税をWTOに申請していた。これに対し、米国が異議を申し立てていたため、WTOが仲裁に入って議論してきた。
中国は10月にも米国に対する年24億ドル分の報復関税をWTOに申請した。米国が中国製の太陽光パネルなどに課した相殺関税は不当とWTOが最終判断したことを受けた措置で、米国はこの報復関税に反論。WTOの仲裁手続きに入ることが決まっている。
2019/11/2 3:54 産経新聞
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