https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-50038210
【ジャパン2020】 千利休も衝撃 会社の給湯室で茶会「給湯流茶道」
2019年11月6日
小村トリコ、ライター
思いがけない話、理解の深まる話、感動的な話――。BBC「ジャパン2020」では、2020年の東京オリンピック(五輪)およびパラリンピックを前に、日本各地のさまざまな話題をお届けします。
「茶道」と聞いてまず思い浮かぶのは、着物を着た上品な女性が畳の上に座り、作法に沿って抹茶をたてるという優美な姿だ。2016年に総務省統計局が行った調査によると、茶道人口の約8割は女性だという。しかし「茶道は女性のもの」というイメージは、近年になって新しく生まれたものに過ぎない。そもそも抹茶を飲む文化が中国から日本へと入ってきた800年前、茶道は武士や僧侶といった男性がたしなむものだった。
文化人類学者の加藤恵津子さんは、著書「<お茶>はなぜ女のものになったか」の中で、茶道は女性にとって「自らの社会的認知度を高める」役割を持っていたと指摘している。
1868年の明治維新以降、茶道を通して女性らしい振る舞いや教養を身につけようと、いわゆる「花嫁修行」のために茶道を始める女性が爆発的に増えた。茶道では、地道な訓練によって「お点前(てまえ)」と呼ばれる独特な身体の動きを習得し、客人を招いてもてなす「茶会」の席でその成果を披露できる。これは「女性の居場所は家庭のみである」と信じられていた時代において、女性が社会から認められるための貴重な手段だったと、加藤さんは分析する。
しかし現在、日本人女性の社会進出が進むにつれて、茶道を習う女性の数は減少しつつある。総務省統計局の同調査では、茶道に関わる女性の半数以上を占めているのが「50歳以上」。高齢化による後継者不足は、茶道界にとって深刻な問題となっている。
そうした状況の中、茶道に今ふたたび転換期が訪れようとしている。10年ほど前から、若手の茶人たちが現代のカルチャーに合わせた新しい茶道の流派を立ち上げているのだ。
戦国武将と現代のビジネスマンの共通点
(リンク先に続きあり)
給湯流茶道はどんな場所でも茶会を開くことが可能(撮影:奥村智範)