■市長に聞く“出生数4年連続増”実現した子育て支援
兵庫県明石市が11月に離婚家庭の子どもへの不払い養育費の立て替えを行う方針を示し、大きな反響を呼んでいます。実現すれば全国初の試み。各社のニュースで報じられると、「#明石市の子育て支援すばらしいから全国に広まれ」というハッシュタグ付きの投稿がTwitterを駆け巡りました。
明石市は、養育費のみならず、手厚い子育て支援で熱い注目を集めています。明石市はなぜ全国初の取り組みに踏み切ったのか。また、これまでに行ってきた子育て支援にはどのような手ごたえがあったのか。明石市長の泉房穂さん(いずみふさほさん、以下、泉市長)と明石市の職員の方々にお話を聞きました。
■第三者の介入で養育費の支払いを促す
「不払い養育費の立て替えはフランス、ドイツ、スウェーデン、韓国といった諸外国では珍しくないんです。『全国初』と言われますが、日本で今まで制度化されていないのが恥ずかしいことなんです」(泉市長)
大学では教育学部だった泉市長。学生時代から日本の政策は極端に子どもや家族に冷たいと感じていたそうです。税金を投入することについて慎重であってほしいという市民の意見もありましたが、
「子どもや子育て層への支援は、それらの世代のためだけに行うのではありません。子どもたちはまちの将来を担うので、結果として40〜50代の現役世代も60〜70代のシニア世代も支える『みんな』のための施策なのです」(泉市長)
不払い養育費立て替えの狙いは、ひとり親家庭の貧困の防止です。
(中略)
■増える人口、税収と経済の好循環
泉市長は「子どもはまちの未来」として、所得制限を設けずに、中学生までのこども医療費や第二子以降の保育料の無料化など「こどもを核としたまちづくり」を進めてきました。これらの施策の充実にあわせて、子ども関連の予算を2倍以上に、職員を3倍以上に増やしたそうです。
積極的な子ども施策を重ねた結果、大阪や神戸など近隣都市から子育て層の転入が拡大し、市の人口は7年連続で増加。納税者が増え、市の税収なども増加しています。さらに、出生数は4年連続増、出生率も上昇するなど、相乗効果が好循環としてはっきりと数字に表れていると話します。
「市民のニーズを把握するために、出産前の方、育児中の方がスマートフォンなどから気軽に子育てに関する意見を言える『子育てモニター』制度を実施しています。また、『すべてのこどもを、まちのみんなで、一人ひとりに寄り添い、本気で応援』することで、まちは良くなるとの思いで、あれかこれか、ではなく、できることは全部やるつもりで取り組んでいます」(泉市長)
子育て支援の財源を確保するために、市民サービスを再編し、公共施設の民間委託、公共事業の大幅な削減など、市の体制や財政を大幅に見直し、改善したといいます。
近年、防災という観点からインフラ整備に力を入れるべきとの声もありますが、「災害はスーパー堤防などハード整備を重点化するだけでは不十分。避難体制の整備などソフト面の施策を組み合わせ、バランスよく実施したいと考えています」(泉市長)と言います。
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