米軍によるイランの司令官殺害を受けて、イラク議会が駐留米軍の国外退去を決議したことについて、ドナルド・トランプ米大統領は5日、実際に退去させられた場合は「見たこともないような」制裁をイラクに科すと発言した。さらに、イランがアメリカに報復した場合はイランの文化を含む標的を攻撃するとツイートしたことが戦争犯罪にあたるという非難についても、問題ではないと述べた。
イラク議会が5日、法的拘束力はないものの、170対0で駐留米軍に国外退去を求める決議を可決したことについて、トランプ氏は大統領専用機で記者団に対して、「我々はあそこに、ものすごく高い空軍基地を置いている。建てるのに何十億ドルもかかった。向こうが払い戻さない限り、出て行かない」と述べた。
さらに、イラクが米軍に退去を強制するようなら、「向こうが一度も見たことがないような制裁を科す。イランへの制裁がやや穏やかに見えるほどのをやる」と話した。
ソレイマニ司令官を殺害した米軍のドローン攻撃では、イラクのイスラム教シーア派武装組織「カタイブ・ヒズボラ」のアブ・マフディ・アル・ムハンディス副司令官も死亡した。
イラクには現在、過激派勢力「イスラム国(IS)」と戦う国際有志連合に参加する形で、約5000人の米兵が駐留している。
この米軍の退去を求める決議は、イラク議会の親イランのシーア派たちが後押しした。
有志連合は5日、対IS作戦を一時停止した。
「不相応な」報復も
米軍は3日、イラク革命防衛隊の海外作戦を担当した精鋭「コッズ部隊」を長年指揮してきた、ソレイマニ指揮官をバグダッド空港の近くでドローンによって殺害した。
1980年代のイラン・イラク戦争で活躍したこともあり、イラン国内では国民的英雄として扱われるソレイマニ司令官の遺体が帰国すると、イラン各地で何百万もの市民が葬列に参加した。
BBCのリーズ・ドゥセット国際報道主任特派員は、昨年末には反政府デモと激しい取り締まりが起きた地域でも、ソレイマニ司令官への弔意によって市民が団結していると指摘している。
ソレイマニ司令官の後任となったエスマイル・カーニ司令官は、「我々は殉教者ソレイマニの道を同じ力強さで歩み続けると約束する(中略)償いとなり得るのは唯一、この地域からアメリカを追放することだ」と述べた。国営ラジオが伝えた。
また、イランを支持するレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラは5日、米軍の基地から軍艦や部隊に至るまで、あらゆるものが報復攻撃の対象だと警告した。ドゥセット特派員によると、ヒズボラは中東から米軍関係者全員を追い出すと主張している。
一方でアメリカ政府は、革命防衛隊とコッズ部隊をテロ組織と指摘し、ソレイマニ司令官をテロリストと呼んで殺害した。これに対してイランが「厳しい復讐」を誓ったほか、バグダッドの米大使館近くにロケット弾の砲撃ガ続いている事態を受け、トランプ氏は5日、ツイッターで、「この一連のメディア投稿は、米連邦議会への通達となる。もしもイランがいかなるアメリカの国民や標的を攻撃した場合、アメリカは直ちに全面的に反撃する。不相応な形での反撃もあり得る。こうした法的通達は不要だが、それでもやる!」と書いた。
https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1213919480574812160
「イラン文化」攻撃は戦争犯罪と言われ
トランプ氏は4日の時点で、「これは警告だ」と大文字で強調しながら、米軍がイラン国内の52カ所の施設を「標的にした」とツイートし、「もしイラン政府がアメリカ人やアメリカの資産を直撃するなら」、米軍は「非常に素早く、かつ非常に強力に、イランとイランの文化にとってきわめて高レベルで大事な標的、イランそのものを攻撃する」と続けた。
文化遺産の攻撃は戦争犯罪に相当するという非難が各方面から上がったものの、トランプ氏は5日にも記者団に対し、「向こうはこちらの人間を殺しても許される。こちらの人間を拷問して一生の傷を負わせても許される。路肩爆弾を使ってこちらの人間を吹き飛ばしても許される。なのにこっちは向こうの文化遺産を触っちゃいけないって? そういうわけにはいかない」と強い調子で述べた。
今年の米大統領選で野党・民主党の大統領候補指名を目指しているエリザベス・ウォーレン上院議員は5日、トランプ氏の最初のツイートに対して「あなたは戦争犯罪を犯すと脅している」とツイッターで非難した。
2020年1月6日 全文はソース元で
BBC
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/18335
https://twitter.com/5chan_nel (5ch newer account)