「『危険ドラッグ』として規制した方がよいのではないか。半ば本気でそう思うことがよくあります」
2019年12月31日19時、SNS(交流サイト)のフェイスブックに、こんなコメントが投稿され、新年早々ネット上で話題になっている。アルコール度数が高い、いわゆる「ストロング系」のチューハイが、アルコール依存を助長し、健康を害したり、暴力行為などのトラブルの原因となったりしているとの指摘だ。コメントが投稿されたのは、NHK紅白歌合戦の放送直前。晩酌をしながらテレビの前に陣取っていた人も多かったはずだ。
ストロング系チューハイは、ビールや発泡酒よりも安く、多くの商品でアルコール度数が一般的なビールの2倍近い9%と、「安く酔える」ことが人気を博し、販売量が急増した。
その一方で、求めやすい価格に加え、味を調え飲みやすくしているために、大量のアルコールを簡単に摂取できてしまうことが、かねて問題視されてきた。今回の投稿の主は、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の松本俊彦・薬物依存研究部部長。アルコール依存対策の最前線に立つ影響力のある人物の投稿とあって、改めて注目を浴びた。
松本氏は次のように指摘する。「結局あれは『お酒』というよりも、単に人工甘味料を加えたエチルアルコール=薬物なのです。そして、ジュースのような飲みやすさのせいで、ふだんお酒を飲まない人や、『自分は飲めない』と思い込んでいる人でもグイグイいけます。そうした人たちが、ビールの倍近い濃度のアルコールをビール並みかそれ以上の早いペースで摂取すればどうなるのか。ただでさえ人類最古にして最悪の薬物といわれているアルコールですが、その害を最大限に引き出す危険な摂取法です」
サントリースピリッツが19年3月に発表した調査リポートでは、缶チューハイなど「RTD(レディ・トゥ・ドリンク)」と呼ばれる商品の数量ベースの市場規模は、19年まで12年連続の拡大を見込む。18年まで14年連続で市場が縮小したビール類とは対照的だ。中でも、アルコール度数が7%以上の商品は、過去10年でおよそ4倍に拡大し、市場の半数近くを占めるまでになった。
生産年齢人口の減少に伴い、国内の酒類市場は縮小傾向が続く。若い世代を中心に、ビールのような苦みの強い飲料よりも、甘いサワー系の飲料を好む人も増えている。
さらに、長引く低成長の影響を酒類業界はもろに受けてきた。業務用市場では、ビールなどを原価すれすれの価格で提供する格安居酒屋がしのぎを削るほか、日本フードサービス協会の調査では国内の「パブレストラン・居酒屋」業態の全店売上高は18年まで10年連続で前年割れとなった。節約志向が強まり、「家飲み」のニーズが拡大していることが背景にある。19年10月の消費増税がそれに拍車をかけている。安く酔えるストロング系チューハイは、こうして固くなった消費者の財布のひもをほどく切り札だった。
日本特有の酒税体系も、メーカーをストロング系チューハイへと駆り立てる。松本氏もこう指摘する。「公衆衛生的アプローチを考えれば、本来、酒税は含有されるアルコール度数の上昇に伴って傾斜すべきです。それなのに、『税収ありき』の国の二転三転する方針にメーカーが追い詰められて、確実におかしな事態を引き起こしています」
日本の酒税は、「その他の発泡性酒類」に該当する「第3のビール」や缶チューハイは、350ml当たり28円。同77円のビールや同47円の発泡酒に比べて格段に安い。酒税法の改正によって、これらの税率は20年10月から段階的に変更され、26年には税額が同55円に一本化されるが、それまでは、アルコール度数が高いストロング系チューハイが、ビールより低税率で飲める状況が続く。
長引く低成長、生産年齢人口の減少、日本特有の酒税、この三重苦が生んだ「あだ花」の側面を持つ商品が、いまやRTD市場の中核に位置する。「家計にやさしい商品」とみなす肯定派と倫理面で問題があるとする否定派とが、どこでバランスをとるのか、市場動向を注視する必要がある。
今世界では、WHO(世界保健機関)を中心にアルコール規制強化の流れが加速しており、日本も対応を迫られている。エシカル消費の流れが本格化する中で、アルコール市場が健全に発展する方策を真剣に議論することが求められている。
1/9(木) 7:00配信
日経ビジネス
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200109-63374487-business-life
★1 2020/01/09(木) 10:58:25.48
前スレ
http://2chb.net/r/newsplus/1578567338/
2019年12月31日19時、SNS(交流サイト)のフェイスブックに、こんなコメントが投稿され、新年早々ネット上で話題になっている。アルコール度数が高い、いわゆる「ストロング系」のチューハイが、アルコール依存を助長し、健康を害したり、暴力行為などのトラブルの原因となったりしているとの指摘だ。コメントが投稿されたのは、NHK紅白歌合戦の放送直前。晩酌をしながらテレビの前に陣取っていた人も多かったはずだ。
ストロング系チューハイは、ビールや発泡酒よりも安く、多くの商品でアルコール度数が一般的なビールの2倍近い9%と、「安く酔える」ことが人気を博し、販売量が急増した。
その一方で、求めやすい価格に加え、味を調え飲みやすくしているために、大量のアルコールを簡単に摂取できてしまうことが、かねて問題視されてきた。今回の投稿の主は、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の松本俊彦・薬物依存研究部部長。アルコール依存対策の最前線に立つ影響力のある人物の投稿とあって、改めて注目を浴びた。
松本氏は次のように指摘する。「結局あれは『お酒』というよりも、単に人工甘味料を加えたエチルアルコール=薬物なのです。そして、ジュースのような飲みやすさのせいで、ふだんお酒を飲まない人や、『自分は飲めない』と思い込んでいる人でもグイグイいけます。そうした人たちが、ビールの倍近い濃度のアルコールをビール並みかそれ以上の早いペースで摂取すればどうなるのか。ただでさえ人類最古にして最悪の薬物といわれているアルコールですが、その害を最大限に引き出す危険な摂取法です」
サントリースピリッツが19年3月に発表した調査リポートでは、缶チューハイなど「RTD(レディ・トゥ・ドリンク)」と呼ばれる商品の数量ベースの市場規模は、19年まで12年連続の拡大を見込む。18年まで14年連続で市場が縮小したビール類とは対照的だ。中でも、アルコール度数が7%以上の商品は、過去10年でおよそ4倍に拡大し、市場の半数近くを占めるまでになった。
生産年齢人口の減少に伴い、国内の酒類市場は縮小傾向が続く。若い世代を中心に、ビールのような苦みの強い飲料よりも、甘いサワー系の飲料を好む人も増えている。
さらに、長引く低成長の影響を酒類業界はもろに受けてきた。業務用市場では、ビールなどを原価すれすれの価格で提供する格安居酒屋がしのぎを削るほか、日本フードサービス協会の調査では国内の「パブレストラン・居酒屋」業態の全店売上高は18年まで10年連続で前年割れとなった。節約志向が強まり、「家飲み」のニーズが拡大していることが背景にある。19年10月の消費増税がそれに拍車をかけている。安く酔えるストロング系チューハイは、こうして固くなった消費者の財布のひもをほどく切り札だった。
日本特有の酒税体系も、メーカーをストロング系チューハイへと駆り立てる。松本氏もこう指摘する。「公衆衛生的アプローチを考えれば、本来、酒税は含有されるアルコール度数の上昇に伴って傾斜すべきです。それなのに、『税収ありき』の国の二転三転する方針にメーカーが追い詰められて、確実におかしな事態を引き起こしています」
日本の酒税は、「その他の発泡性酒類」に該当する「第3のビール」や缶チューハイは、350ml当たり28円。同77円のビールや同47円の発泡酒に比べて格段に安い。酒税法の改正によって、これらの税率は20年10月から段階的に変更され、26年には税額が同55円に一本化されるが、それまでは、アルコール度数が高いストロング系チューハイが、ビールより低税率で飲める状況が続く。
長引く低成長、生産年齢人口の減少、日本特有の酒税、この三重苦が生んだ「あだ花」の側面を持つ商品が、いまやRTD市場の中核に位置する。「家計にやさしい商品」とみなす肯定派と倫理面で問題があるとする否定派とが、どこでバランスをとるのか、市場動向を注視する必要がある。
今世界では、WHO(世界保健機関)を中心にアルコール規制強化の流れが加速しており、日本も対応を迫られている。エシカル消費の流れが本格化する中で、アルコール市場が健全に発展する方策を真剣に議論することが求められている。
1/9(木) 7:00配信
日経ビジネス
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200109-63374487-business-life
★1 2020/01/09(木) 10:58:25.48
前スレ
http://2chb.net/r/newsplus/1578567338/