東芝は1月22日、動作に伴う物体の向きの変化を高精度に検出する角度直接検出型のジャイロセンサーとして、大型の計測制御装置などを必要としない小型モジュールの開発に世界で初めて成功したと発表した。
これにより、ロボット・無人搬送車・ドローンなど、従来では難しかった小型機器への搭載・実証実験が可能となるという。この新開発の小型モジュールは、機器が回転する角速度(角度の時間変化)を計測し、それを演算して角度を求める一般的なジャイロセンサーと異なり、機器が回転する角度を直接計測することで高精度と高速応答の両立を可能としている。
また、微細な機械構造と電子回路を半導体基板上に集積させるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いてセンサ素子を小型化し、マイクロコントローラーから制御することで、実証実験に適用可能なサイズまでモジュールの小型化を達成。東芝は本開発品について2021年度以降のサンプル出荷を目指す。
この技術の詳細は、1月18日(現地時間)からバンクーバーで開催されている「国際学会IEEE-MEMS 2020」で1月22日(現地時間)に発表される。
物体の向きを計測するジャイロセンサーは、大型で高性能なものは航空機や飛翔体、小型で低価格なものはスマートフォンなどの民生機器に広く利用されている。今後は倉庫や工場内での作業者や無人搬送機の位置計測、ドローンの精密姿勢制御、ロボットやモビリティの自動運転などの幅広い分野への応用が期待されるが、こうした分野への適用には、小型で高精度かつ高速応答性が求められる。従来のジャイロセンサーは物体の角度を直接測定せず角速度からの演算処理によって求める方式のため、応答速度や精度において課題があり、小型で高精度、高速応答可能な新たなジャイロセンサーの開発が必要になったという。
そこで東芝は、従来のジャイロセンサーと異なり、角速度ではなく角度を直接検出できる、高精度かつ高速応答可能なジャイロセンサー(Rate Integrating Gyroscope:以下RIG)を、MEMS技術を用いて小型化し、大型の計測制御装置などを必要としない小型モジュールの開発に世界で初めて成功。これにより、実際に無人搬送機やドローンなどに搭載して、軌道推定や姿勢制御などの実証実験を行なうことが初めて可能になった。
RIGは地球の自転の角度を計測できるフーコーの振り子と同じ物理的原理に基づき、物体の角度を直接検出することができる。RIG動作のためには、検出に用いる振動子を完全に対称な構造にすることが必須条件となるが、製造時の加工誤差のため、非対称性が発生することが課題となっていた。そこで東芝は、独自技術の抵抗型可変ダンパーの導入などでこの非対称性を補正し、完全な対称状態を実現。
また、東芝の振動子は独自のドーナツマス構造(ドーナツ型の錘を採用)のため、温度が変化しても縦横の振動特性が等しく変化し、対称性が保たれるので、温度変化による感度への影響が極めて小さいという。今回開発した小型モジュールは、RIG特有の角度直接検出を実現しつつ、精度とドリフトのいずれの指標でも、同じMEMS技術を用いた民生機器用のジャイロセンサー以上の性能であることが確認できており、今後はさらなる性能の改善を見込んでいるという。
東芝は、今回開発に成功したジャイロセンサーの精度および応答性をさらに改善し、2021年度以降を目処に、サンプル出荷が可能となるレベルまで技術完成度を高めることを目指しながら、このジャイロセンサーを搭載した慣性計測装置の開発を進める。また、今回開発した技術には、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」の研究開発項目にある「高度なIoT 社会を実現する横断的技術開発」助成事業の成果が含まれており、本開発にあたってはデバイス&システム・プラットフォーム開発センターの協力を得ているという。
1/22(水) 13:19配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200122-00000105-impress-ind
これにより、ロボット・無人搬送車・ドローンなど、従来では難しかった小型機器への搭載・実証実験が可能となるという。この新開発の小型モジュールは、機器が回転する角速度(角度の時間変化)を計測し、それを演算して角度を求める一般的なジャイロセンサーと異なり、機器が回転する角度を直接計測することで高精度と高速応答の両立を可能としている。
また、微細な機械構造と電子回路を半導体基板上に集積させるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いてセンサ素子を小型化し、マイクロコントローラーから制御することで、実証実験に適用可能なサイズまでモジュールの小型化を達成。東芝は本開発品について2021年度以降のサンプル出荷を目指す。
この技術の詳細は、1月18日(現地時間)からバンクーバーで開催されている「国際学会IEEE-MEMS 2020」で1月22日(現地時間)に発表される。
物体の向きを計測するジャイロセンサーは、大型で高性能なものは航空機や飛翔体、小型で低価格なものはスマートフォンなどの民生機器に広く利用されている。今後は倉庫や工場内での作業者や無人搬送機の位置計測、ドローンの精密姿勢制御、ロボットやモビリティの自動運転などの幅広い分野への応用が期待されるが、こうした分野への適用には、小型で高精度かつ高速応答性が求められる。従来のジャイロセンサーは物体の角度を直接測定せず角速度からの演算処理によって求める方式のため、応答速度や精度において課題があり、小型で高精度、高速応答可能な新たなジャイロセンサーの開発が必要になったという。
そこで東芝は、従来のジャイロセンサーと異なり、角速度ではなく角度を直接検出できる、高精度かつ高速応答可能なジャイロセンサー(Rate Integrating Gyroscope:以下RIG)を、MEMS技術を用いて小型化し、大型の計測制御装置などを必要としない小型モジュールの開発に世界で初めて成功。これにより、実際に無人搬送機やドローンなどに搭載して、軌道推定や姿勢制御などの実証実験を行なうことが初めて可能になった。
RIGは地球の自転の角度を計測できるフーコーの振り子と同じ物理的原理に基づき、物体の角度を直接検出することができる。RIG動作のためには、検出に用いる振動子を完全に対称な構造にすることが必須条件となるが、製造時の加工誤差のため、非対称性が発生することが課題となっていた。そこで東芝は、独自技術の抵抗型可変ダンパーの導入などでこの非対称性を補正し、完全な対称状態を実現。
また、東芝の振動子は独自のドーナツマス構造(ドーナツ型の錘を採用)のため、温度が変化しても縦横の振動特性が等しく変化し、対称性が保たれるので、温度変化による感度への影響が極めて小さいという。今回開発した小型モジュールは、RIG特有の角度直接検出を実現しつつ、精度とドリフトのいずれの指標でも、同じMEMS技術を用いた民生機器用のジャイロセンサー以上の性能であることが確認できており、今後はさらなる性能の改善を見込んでいるという。
東芝は、今回開発に成功したジャイロセンサーの精度および応答性をさらに改善し、2021年度以降を目処に、サンプル出荷が可能となるレベルまで技術完成度を高めることを目指しながら、このジャイロセンサーを搭載した慣性計測装置の開発を進める。また、今回開発した技術には、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」の研究開発項目にある「高度なIoT 社会を実現する横断的技術開発」助成事業の成果が含まれており、本開発にあたってはデバイス&システム・プラットフォーム開発センターの協力を得ているという。
1/22(水) 13:19配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200122-00000105-impress-ind