ハンチントン病は「HTT遺伝子」と呼ばれる遺伝子の特定部分が加齢に伴い長くなり、異常なたんぱく質が合成されて脳や神経が傷つくのが原因。30代以降の発症が多く、国内に約1000人の患者がいるとされる。根治療法は確立されていない。
研究チームは、HTT遺伝子の異常伸長部分がヘアピンのような構造になり、修復機能が誤って作用してさらに長く伸ばしている点に着目した。ヘアピン構造に結合する低分子化合物を開発し患者の細胞に加えたところ、1カ月後で伸長が約1割抑えられた。別の修復機能が働き、異常な伸長部分が切り取られたとみられる。
ハンチントン病のマウスの脳に化合物を投与すると、異常なたんぱく質が1カ月で半減した。
遺伝子が異常に伸びて発症する疾患は他に脊髄(せきずい)小脳失調症や筋強直性ジストロフィーなどがあり、応用できる可能性があるという。チームの中森雅之・阪大特任講師(神経内科学)は「人で安全性と有効性を確認する研究につなげたい」と話している。
成果は、米科学誌「ネイチャー・ジェネティクス」電子版に掲載された。【渡辺諒】
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