【北京時事】中国で新型コロナウイルスの感染拡大に伴う深刻な景気悪化が浮き彫りになっている。2月の景況感は2008年のリーマン・ショック直後より落ち込み、過去最悪を記録。経済の混乱は長引いており、日本を含む世界全体に影響が及ぶのは確実だ。
国家統計局が29日発表した2月の製造業購買担当者景況指数(PMI)は35.7に急落し、これまでの最低だった08年11月の38.8を割り込んだ。低下幅は前月比14.3ポイントに達し、衝撃の大きさがあらわになった。
感染拡大防止で休業していた企業の活動再開は10日に認められたものの、足取りは重い。移動制限や経過観察の影響で従業員の復帰が遅れ、人手不足が深刻化。大企業は大半が再開したが、フル稼働にはほど遠い状況だ。中小企業の再開率は推計で3割にとどまり、サプライチェーン(部品供給網)への影響が懸念されている。
経済成長の柱である消費も低迷。年間を通じて購買意欲が最も旺盛な1月下旬の春節(旧正月)連休と感染拡大が重なり、観光や外食、娯楽などが大打撃を被った。現在も店舗の閉鎖や営業時間短縮、市民の外出自粛で厳しい状態が続く。業界団体によれば、2月1〜23日の乗用車の1日平均販売台数は前年同期比で9割減となった。
習近平国家主席は「打撃は短期的」と繰り返し強調。政府は社会保険料の減免や中小企業の資金繰り支援などの措置を打ち出し、湖北省など感染の深刻な地域を除き、ウイルスの封じ込めと企業再開の両立を推し進めようとしている。
国家統計局の専門家は政府の支援策で「企業再開の歩みが速まる」と予想、3月のPMIは改善するとの楽観的な見通しを示した。ただ、2月のPMIでは、新規受注の指数が22.1ポイント低下の29.3に落ち込んでおり、今後の生産活動に響きそうだ。政府の思惑通りに景気回復が進まない可能性がある。
2020年03月01日07時17分
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