「経済産業省が消毒液を付けることでマスクの再利用が可能だと周知する方向で検討していることがわかった」。テレビ朝日の総合ニュースサイト「テレ朝news」が2020年3月2日に報じた。J-CASTトレンドが3月3日、経産省広報室に電話取材すると「経済産業省としては、マスクの再利用を周知する予定はございません」と答えた。
マスク再利用については以前からさまざまな意見が飛び交っている。今一度、考えてみたい。
経産省広報室担当者は取材に対し、全国マスク工業会などとやりとりするなかで、「専門団体側が『マスク再利用に関する周知を行う可能性がある』とした」と話した。今後「マスク再利用を促す」情報が発信されるとしたら、その主体は「経済産業省でなく専門団体になる」と述べた。
実際に、マスクの再利用は可能なのか。J-CASTトレンドの2月7日付記事「使い捨てマスクは洗って再利用できるか 新型コロナウイルスが心配な今、医師に聞いた」で自治医科大学付属さいたま医療センター小児科医・市橋光氏が「1、2回再利用する分にはできると思います」とコメントしている。ただ、これはどうしてもマスクが手に入らない場合の「苦肉の策」。必要に迫られていないのに洗って再利用することは推奨しない。
「NHK NEWS WEB」2月28日付記事「効果は? 再利用は? マスクの疑問 専門家に聞きました」で、東京医科大学の濱田篤郎教授は「一般的な使い捨てマスクはたとえ表面をアルコール消毒したとしても衛生上、再利用しないほうがいい」と述べている。どうしても、の場合の方法として「マスクの内側にガーゼを入れて、そのガーゼを交換すれば何回かは使えるかもしれない」と説明したが、基本は「再利用は望ましくない」ことを強調している。
「風邪や感染症の疑いがある人たちに使ってもらう」
健康なら、四六時中マスクをしていなくてもいいとの指摘もある。20年3月3日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)が「経済産業者がマスク再利用について検討している」報道を取り上げた際、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫氏が「初めて聞きました。ここまで来たのか」と述べたうえで、こう説明した。
「マスクの(第)1の目的は、飛沫を感染者から飛ばさないこと。せきをされる方、(マスク着用が)大切ですよね。特に喘息の方、花粉症の方でウイルスいたら飛ばしちゃいますので、ぜひしていただきたい。何もないとき、街を歩くときにする必要はございません」
大谷氏はクリニックではマスクを着用しているが、「昼に、ちょっとコーヒー買いに行くぐらいではマスクをしない」。ただ、満員電車などでどこから飛沫が来るかわからない時には、「一応防御のために」マスクをつけておきたいと考える人の気持ちも理解できるとした。
厚生労働省は公式サイトにある啓発資料「マスクについてのお願い」で「現在、予防用にマスクを買われている方が多いですが、感染症の拡大の効果的な予防には、風邪や感染症の疑いがある人たちに使ってもらうことが何より重要です」と説明している。
https://www.j-cast.com/trend/2020/03/03381204.html?p=all