だが、中国の若き大学教授が、同市内の政府研究機関からウイルスが流出した可能性を指摘するレポートを発表。
その主張は検証に値するものだったが、レポートは即座に闇に葬られ、教授は失踪してしまう──。
つねに隠蔽体質を批判される中国政府によって、真相が明らかにされる日は訪れるのだろうか?
「海鮮市場発生源説」を当局が公式に否定
世界最大規模の科学技術アカデミー、中国科学院が中国とミャンマー、ラオス国境付近の雲南省西双版納?族(シーサンパンナ・タイ族)自治州に設けている中国科学院西双版納熱帯植物園は、
2月20日、新型コロナウイルスは武漢華南海鮮卸売市場以外の場所で発生したとする研究結果を公式サイトで発表した。
同植物園は北京脳科学与類脳研究中心などの他の研究機関とともに2月12日までに、
「鳥インフルエンザ情報共有の国際推進機構(GISAID)」のデータベースで共有されている4大陸12ヵ国・地域の93の新型コロナウイルスサンプルのゲノムデータを収集し、解析。
その結果、ウイルスは2019年11月下旬?12月上旬、身元不明の中間動物が最初のヒト宿主にウイルスを感染させ、
また同じ頃にウイルスはヒトからヒトへと感染し、その後、武漢華南海鮮卸売市場の関係者や客を中心に感染者が拡大したと分析した。
さらに2月26日、武漢市統治機構トップの中国共産党武漢市委員会と武漢市政府は、中国最大のミニブログ「新浪微博(ウェイボー)」オフィシャルアカウントで、
新型コロナウイルス対策本部医療チームの見解として、2019年12月8日に発病した第1号患者(既に回復し退院)の市内在住・陳氏について、
調査の結果、過去に一度も武漢華南海鮮卸売市場を訪れたことはなく、海鮮市場が発生源ではないとする結論を発表した。
独自発信で“消された”教授、弁護士、記者…
では、海鮮市場でなければ一体、ウイルスの発生源はどこなのだろうか。
熱帯植物園と武漢市当局は肝心の結論を曖昧のままにし、植物園は研究結果の発表文も即刻、公式サイトから削除してしまった。
実はこの「真の発生源」について、2月6日に独自の研究リポートを発表した中国人学者がいた。
フランス公共放送「ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)」の中国語版サイトや香港ニュースメディア「香港01」が報じたところによると、
中国の理系トップクラスの国立大学、華南理工大学・生物科学与工程学院(生物学・生物工学部)の肖波濤(シァオ・ボウタオ)教授が、
科学者向けグローバル情報共有プラットフォーム「リサーチゲート」に「The possible origins of 2019-nCoV coronavirus(2019-nCoVコロナウイルスの可能な起源)」と題する英文レポートを発表した。
肖教授はレポートで武漢市が発生都市であることは肯定しながら、海鮮市場ではなく同市内の政府系ウイルス研究所2ヵ所のうち、いずれかからウイルスが流出して感染が拡大した可能性が高いとの説を披露している。
もし肖教授の分析が正しいとすれば中国政府のメンツは丸つぶれで世界を震撼させることになる。ただ、「リサーチゲート」に掲載された肖教授のリポートの原文は直ちに削除されてしまい、
また同時に肖教授は消息を断ち、現時点でも安否は不明だ。
その身柄は中国当局に拘束されている可能性が高い。
原因不明の肺炎に警鐘を鳴らしたことで処分を受けた武漢市の医師・李文亮(リー・ウェンリャン)氏の感染死(2月7日)などを受け、
中国当局は新型コロナウイルスへの対応をめぐり、体制批判が広がることに警戒を強めている。中国で党や政府の公式見解とは異なった視点で分析や発表を行うことは許されない。
肖教授は研究者生命が断たれて家族にまで監視の目が及ぶのを覚悟の上で、世界に向けて警鐘を鳴らしたのだろう。
このほか、憲政の実現を求める「新公民運動」を提唱した法学者、許志永(シュウ・ヂィヨン)氏が2月15日に当局に連行された。
許氏はネットで習近平国家主席に対し感染防止対策を含む危機管理能力を批判、退陣を求めていた。
https://courrier.jp/columns/193034/?ate_cookie=1583604070
2020.3.6
![【粛清】新型コロナで“失踪”する中国人告発者たち─“ウイルス流出説”を唱えた教授も… YouTube動画>2本 ->画像>2枚](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/9/5/670m/img_95f26fd5bbe7e1d8cf9e5cb9c1a2b55739961.jpg)