さて、今週ご紹介するのは、巷(ちまた)で話題の一冊に関するお話です。
音楽や映画といったエンタメから経済や科学、芸術、人文学系に至るまで、どんな分野にもマニアックな需要をそこそこ満たす商品が存在するものですが、いま、そんなマニアックな人々向けのように思われる一冊の本が隠れたベストセラーを記録しています。
「みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史」(日経コンピュータ著、日経BP、1980円)。タイトルを見れば、ほとんどの人は「当事者を含む金融関係か、IT(情報技術)関係の人しか読まへんやろ」と思いがちですが、発売前からツイッターなどSNS(交流サイト)で盛り上がり、まとめサイトが立ち上がるなど、ちょっとした“お祭り状態”に。
その結果、発売前の予約時点でアマゾンのランキングに入り、2月14日の発売日に書籍総合第1位に。そのまま1位を3日間キープし、発売5日間でまさかの5万部を突破する快挙を成し遂げたのです。
それにしても、なぜ、こんなマニアックな本が発売前から話題になり、ベストセラーを記録したのか。今回は、この本の内容を紹介しながら、その謎に迫ります。
◇ ◇
タイトル通り、本書が描くのは、みずほフィナンシャルグループ(FG)が、みずほ銀行で2011(平成23)年6月から昨年7月まで行った「勘定系システム」の刷新・統合プロジェクトが歩んだ長い道のりです。
「勘定系システム」とは、銀行業務の本丸といえる預金や融資、振り込みなどをつかさどる、銀行にとって最も重要な情報システムのことです。これが不具合を起こし、使えなくなると、ATM(現金自動預け払い機)も銀行の支店の窓口も、パソコンやスマートフォンから利用するインターネットバンキングもすべて使えなくなります。
ところが、みずほFGのシステム(第3次オンラインシステム)は、パソコンやスマホが登場する以前の1980年代末に開発されたものでした。
みずほFGは2000(平成12)年に第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が統合して誕生しましたが、実は、この時代遅れの「勘定系システム」の刷新・統合は3行合併時からの大きな懸案事項だったのです。
しかし、さまざまな理由で刷新は延々と進まず、2002(平成14)年4月1日に大規模なシステム障害を引き起こします。その後、システム刷新を進めようとしますが何度も失敗。東日本大震災の発生から3日後の2011(平成23)年3月14日に再び大規模なシステム障害を起こします。
そこから立ち上がり、同年6月から、旧システムの刷新と新しい勘定系システム「MINORI(実り)」の開発プロジェクトがスタートするのですが、昨年7月の完了までに投じた資金は何と4000億円代半ば。参加企業は富士通、日立製作所、日本IBM、NTTデータを筆頭に計1000社。投入人員は35万人月。1人のIT技術者が丸1カ月作業をすると、その作業量が「1人月」なので、その35万倍の規模です。想像できません。
本書では、3行合併時の2000(平成12)年以来、19年越しの悲願ともいえるこの「MINORI(実り)」プロジェクトの壮大過ぎる道のりの裏側を明らかにするのです。
みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史
続きはソースで
https://www.sankei.com/premium/news/200320/prm2003200005-n1.html
音楽や映画といったエンタメから経済や科学、芸術、人文学系に至るまで、どんな分野にもマニアックな需要をそこそこ満たす商品が存在するものですが、いま、そんなマニアックな人々向けのように思われる一冊の本が隠れたベストセラーを記録しています。
「みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史」(日経コンピュータ著、日経BP、1980円)。タイトルを見れば、ほとんどの人は「当事者を含む金融関係か、IT(情報技術)関係の人しか読まへんやろ」と思いがちですが、発売前からツイッターなどSNS(交流サイト)で盛り上がり、まとめサイトが立ち上がるなど、ちょっとした“お祭り状態”に。
その結果、発売前の予約時点でアマゾンのランキングに入り、2月14日の発売日に書籍総合第1位に。そのまま1位を3日間キープし、発売5日間でまさかの5万部を突破する快挙を成し遂げたのです。
それにしても、なぜ、こんなマニアックな本が発売前から話題になり、ベストセラーを記録したのか。今回は、この本の内容を紹介しながら、その謎に迫ります。
◇ ◇
タイトル通り、本書が描くのは、みずほフィナンシャルグループ(FG)が、みずほ銀行で2011(平成23)年6月から昨年7月まで行った「勘定系システム」の刷新・統合プロジェクトが歩んだ長い道のりです。
「勘定系システム」とは、銀行業務の本丸といえる預金や融資、振り込みなどをつかさどる、銀行にとって最も重要な情報システムのことです。これが不具合を起こし、使えなくなると、ATM(現金自動預け払い機)も銀行の支店の窓口も、パソコンやスマートフォンから利用するインターネットバンキングもすべて使えなくなります。
ところが、みずほFGのシステム(第3次オンラインシステム)は、パソコンやスマホが登場する以前の1980年代末に開発されたものでした。
みずほFGは2000(平成12)年に第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が統合して誕生しましたが、実は、この時代遅れの「勘定系システム」の刷新・統合は3行合併時からの大きな懸案事項だったのです。
しかし、さまざまな理由で刷新は延々と進まず、2002(平成14)年4月1日に大規模なシステム障害を引き起こします。その後、システム刷新を進めようとしますが何度も失敗。東日本大震災の発生から3日後の2011(平成23)年3月14日に再び大規模なシステム障害を起こします。
そこから立ち上がり、同年6月から、旧システムの刷新と新しい勘定系システム「MINORI(実り)」の開発プロジェクトがスタートするのですが、昨年7月の完了までに投じた資金は何と4000億円代半ば。参加企業は富士通、日立製作所、日本IBM、NTTデータを筆頭に計1000社。投入人員は35万人月。1人のIT技術者が丸1カ月作業をすると、その作業量が「1人月」なので、その35万倍の規模です。想像できません。
本書では、3行合併時の2000(平成12)年以来、19年越しの悲願ともいえるこの「MINORI(実り)」プロジェクトの壮大過ぎる道のりの裏側を明らかにするのです。
みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史
続きはソースで
https://www.sankei.com/premium/news/200320/prm2003200005-n1.html