東洋大学(本部・東京都文京区)は24日、群馬県板倉町泉野の「板倉キャンパス」にある生命科学部と食環境科学部の2学部を2024年4月から、埼玉県朝霞市と東京都北区のキャンパスに移転すると正式発表した。
少子化による大学間競争が激化する中、都心から距離のある板倉キャンパスでは志願者が集まりにくかったことなどが背景にある。
事実上の「撤退」で、地元では地域経済などへの打撃を心配する声が上がっている。【鈴木敦子】
板倉キャンパスは1997年、県企業局開発の「板倉ニュータウン(NT)」(218万平方メートル)に開設。広さ33万平方メートル。
「大学を核としたまちづくり」の事業構想の下、県などが誘致し、県と町が各10億円、県企業局が計23億円を大学側に支援した経緯がある。
東武鉄道はキャンパス開設に合わせて97年3月に「板倉東洋大前駅」を開業した。
当初は国際地域学部と生命科学部の2学部で始まったが、国際地域学部が2009年に都内のキャンパスに移転。
13年に食環境科学部が新設された。
大学によると、板倉キャンパスには昨年5月1日現在で学生1884人と教員65人が在籍している。
大学構内の清掃や食堂への食材供給などで地元業者が出入りしており、撤退による経済的損失を危惧する声は少なくない。
また、NTの住民からは、電車の本数減を不安視する見方もある。
移転の発表を受けて、山本一太知事は、開設当時に県などが多額の支援や研究面で協力してきた経緯を強調し、
「地元に対する配慮が感じられず極めて残念。東京一極集中の是正や地方創生を進める国の方針にも逆行するものと考えている」とのコメントを出した。
https://news.livedoor.com/article/detail/18017136/
2020年3月25日 11時19分 毎日新聞