◆逃げなかった理由とは
――大勢の人たちが逃げなかったのですね。
あれだけの大津波でも、逃げない人がいたということに、驚く人もいるかもしれません。
逃げなかった理由は「油断した」「家族やペットなどを助けに行った(戻った)」「足や耳が悪く、逃げ遅れた」「自力で逃げられなかった」など、さまざまです。
陸前高田市では、ハザードマップ上で津波浸水が1メートル前後と予想されていたエリアに、10メートルを超える津波が襲いかかりました。
ハザードマップ以上の災害が起こらない保証はないので、ハザードマップで浸水が予想されているエリアはもちろん、その周辺地域でも、確実に逃げる体制を取るべきです。
◆「楽観バイアス」に要注意
――楽観バイアスという心理がありますね。自分だけは大丈夫だという。こう思っていないと不安で、心が壊れそうになるから。こういう心理に、気をつけないといけないですね。楽観バイアスの心理から脱却するのに、必要なことはありますか。
大津波が来るかどうかは、発生するまでは、分かりません。小規模な津波で終わることも多いですが、「今回も大したことはないだろう」と、油断しないで、毎回、注意を怠らないことが大切です。
掛川市では、逃げる場所やルートなど、家庭の避難計画を書き込めるガイドブックを配布しています。家族それぞれが逃げる場所を、事前に話し合っておくことも有効です。
◆避難所生活は大きな負担
――以前、災害関連のシンポジウムで、久保田さんとご一緒させていただいた際、「警報が出た時、それが空振りになったとしても、必ず避難をする。空振りの場合、これは予行演習をしたのだと考えて、面倒でも必ず避難を」と、おっしゃっていたのを覚えています。他に心掛けておくことはありますか。
自宅で過ごせる準備をすることです。災害時には、自治体は避難者のための避難所を開設します。ですが、東日本大震災や熊本地震などを通じて明らかになってきたことは、衛生状態やストレスが発生しやすい避難所での生活は、避難者への大きな負担になるということです。
19年12月に復興庁が発表した同年9月時点の「震災関連死」の死者数は3739人です。この数字は、警察庁が発表した20年3月1日現在の直接的な死者数1万5899人(行方不明者は2529人)と比べても、相当大きなものです。
陸前高田市では、震災から5カ月となる11年8月まで、体育館などの避難所での生活が続きました。初期には、さまざまな問題がありました。
水道が止まったことで、トイレに汚物がたまって流れない。食事の配給がおにぎりやパンなどで、栄養が偏る。着替えなどのプライバシーがないなどです。特に、トイレに行けないとなると、水分補給を抑制したくなり、これは健康に悪影響を及ぼします。
全文はソース元で
4/10(金) 15:06配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200410-00010000-jij-life&p=2