新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言から1週間が過ぎ、東京都内の感染者数の動向が注目されている。都は不要不急の外出自粛や事業者への休業を求めており、感染拡大に歯止めをかけたいとしている。【南茂芽育、古関俊樹】
感染者数を居住地別で見ると、区市町村間で大きく異なっている。23区の南西部に感染者が集中する傾向があり、12日時点の累計値では、世田谷区が195人で最多。新宿区が164人、港区が158人で続く。世田谷区の人口は都内で最多の92万人。10万人あたりの感染者の比率は、港区が60人、新宿区が47人、世田谷区が21人と順位は変わるが、各保健所などへの取材では、多数の感染者が出ている区は、欧州からの帰国者や、接客を伴う飲食店などで感染が疑われる住民が数を押し上げているようだ。
「欧州に渡航・滞在する住民が多い」
世田谷区には目立った歓楽街はなく、大半を住宅地が占め、「夜の街のクラスター(感染者集団)のような特異な例はない」(区の担当者)。多数の感染者が確認された一因として、保坂展人区長は「欧州に渡航・滞在する住民が多い」と指摘している。
港区は「サラリーマンの街」として知られる虎ノ門や新橋のほか、「夜の街」からアートまで多彩な表情を持つ六本木もあり、人口は26万人ながらも、昼間人口は94万人(2015年時点)にも達する。区の担当者は「外来者が多いと、人と人の接触機会も増える。ナイトクラブなども多いので、夜の繁華街での感染も多かったのではないか」と分析する。
新宿区も全国屈指の歓楽街・歌舞伎町を抱える。3月末に吉住健一区長は「区内の感染確認者のうち、夜間営業に関わる業務に従事している人は、おおむね4分の1程度だ」と指摘している。一方、多摩地区や伊豆・小笠原の島しょ部を中心に14市町村が感染者ゼロ。1桁以下なのは32市町村だった。
毎日新聞2020年4月14日 18時04分(最終更新 4月14日 18時04分)
https://mainichi.jp/articles/20200414/k00/00m/040/152000c