(ブルームバーグ): 新型コロナウイルス感染拡大に伴う危機的状況により、11月の米大統領選でトランプ大統領が再選を目指す上で重要な激戦州の一部が特に深刻な打撃を被っている。この重大な局面において、トランプ氏が掲げる自身の再選の論拠を切り崩しかねない展開だ。
トランプ氏が再選実現の追い風と期待を寄せていた好景気は崩壊しつつあると考えられ、全米の失業率は最悪の場合、30%に達するとの予想もある。2016年のトランプ氏の当選で鍵を握った3州は大きな痛手に見舞われる公算が大きい。
このうちトランプ氏が1万704票差で勝利したミシガン州は、新型コロナ感染による死者数が13日時点で1479人と、ニューヨーク、ニュージャージー両州に次いで全米で3番目に多い。感染者数が4番目に多いペンシルベニア州は、3月最後の2週間で州労働人口に占める新規失業保険申請件数の割合が最多となった。
ペンシルベニア州に位置するフランクリン&マーシャル大学教授で政治分析のベテラン、テリー・マドンナ氏は、11月の大統領選で同州が最大の激戦州の1つとなるだろうと指摘するとともに、トランプ氏が経済を再スタートすることができるかどうかに事態は大きく左右されるとの見方を示した。
そしてウィスコンシン州では、今月7日の大統領選予備選を延期させようとしたエバーズ知事(民主)を押し切って、州議会の共和党が実施を断行させ、感染防止のためマスクを着用した有権者が投票所に赴かねばならない事態となった。同州民主党員はこの件をすぐに忘れることはないだろう。
サンダース氏、コロナ危機さなかのウィスコンシン州予備選実施は危険
経済的痛手はトランプ氏の支持層の重要な部分であるブルーカラー労働者の間で最も深刻だ。米労働省の季節調整済み統計によれば、非大卒者の雇用は2月から3月前半までに2.5%減った。失業者数が28%の急増となる中にあって、大卒者の雇用は0.4%増えている。
感染拡大や失業など悪いニュースが山積し、トランプ大統領が新型コロナ対応で3月後半に享受した危機的状況での2週間の支持率上昇も既に消失した。
政治専門サイト「リアルクリアポリティクス」がまとめた世論調査の平均によれば、トランプ氏の危機対応への不支持は48.7%と、支持の46.8%を上回り、国難に際して有権者が現職大統領の下に結集するという効果はつかの間であることがうかがわれる。
大統領選の年の4−6月(2四半期)は再選を目指す現職には重要な時期だ。正確な時間枠については議論の余地があるものの、有権者の多くはこの時期に経済情勢について印象を固め、それを基に11月の投票に臨むという調査結果がある。
仮に大統領選が経済に関する国民投票のようなものであれば、トランプ氏の立場はこれまでになく脆弱(ぜいじゃく)と言える。だが、トランプ氏はこれまでの常識をしばしば覆し政治的失墜を逃れてきた。さらに、投票までまだ約7カ月を残し、多くの不確実性の存在を専門家は指摘している。
4/14(火) 17:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200414-51200003-bloom_st-bus_all
トランプ氏が再選実現の追い風と期待を寄せていた好景気は崩壊しつつあると考えられ、全米の失業率は最悪の場合、30%に達するとの予想もある。2016年のトランプ氏の当選で鍵を握った3州は大きな痛手に見舞われる公算が大きい。
このうちトランプ氏が1万704票差で勝利したミシガン州は、新型コロナ感染による死者数が13日時点で1479人と、ニューヨーク、ニュージャージー両州に次いで全米で3番目に多い。感染者数が4番目に多いペンシルベニア州は、3月最後の2週間で州労働人口に占める新規失業保険申請件数の割合が最多となった。
ペンシルベニア州に位置するフランクリン&マーシャル大学教授で政治分析のベテラン、テリー・マドンナ氏は、11月の大統領選で同州が最大の激戦州の1つとなるだろうと指摘するとともに、トランプ氏が経済を再スタートすることができるかどうかに事態は大きく左右されるとの見方を示した。
そしてウィスコンシン州では、今月7日の大統領選予備選を延期させようとしたエバーズ知事(民主)を押し切って、州議会の共和党が実施を断行させ、感染防止のためマスクを着用した有権者が投票所に赴かねばならない事態となった。同州民主党員はこの件をすぐに忘れることはないだろう。
サンダース氏、コロナ危機さなかのウィスコンシン州予備選実施は危険
経済的痛手はトランプ氏の支持層の重要な部分であるブルーカラー労働者の間で最も深刻だ。米労働省の季節調整済み統計によれば、非大卒者の雇用は2月から3月前半までに2.5%減った。失業者数が28%の急増となる中にあって、大卒者の雇用は0.4%増えている。
感染拡大や失業など悪いニュースが山積し、トランプ大統領が新型コロナ対応で3月後半に享受した危機的状況での2週間の支持率上昇も既に消失した。
政治専門サイト「リアルクリアポリティクス」がまとめた世論調査の平均によれば、トランプ氏の危機対応への不支持は48.7%と、支持の46.8%を上回り、国難に際して有権者が現職大統領の下に結集するという効果はつかの間であることがうかがわれる。
大統領選の年の4−6月(2四半期)は再選を目指す現職には重要な時期だ。正確な時間枠については議論の余地があるものの、有権者の多くはこの時期に経済情勢について印象を固め、それを基に11月の投票に臨むという調査結果がある。
仮に大統領選が経済に関する国民投票のようなものであれば、トランプ氏の立場はこれまでになく脆弱(ぜいじゃく)と言える。だが、トランプ氏はこれまでの常識をしばしば覆し政治的失墜を逃れてきた。さらに、投票までまだ約7カ月を残し、多くの不確実性の存在を専門家は指摘している。
4/14(火) 17:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200414-51200003-bloom_st-bus_all