札幌市で飲食店の商品をタクシーで消費者の自宅まで届ける「食べタク」の実証試験が17日から始まった。新型コロナウイルスの影響で飲食店やタクシーの利用者が激減する中、双方の利用拡大を目指す。タクシーで商品の配達を希望する飲食店をまとめたサイトも作成中で、来週中の公開を目指す。課題を洗い出し、本格的なサービスを展開していく。
市内の広告会社メディアリンクがタクシー会社の東邦交通などと連携し始めた。
同日は主に北海道産の農水産物を使ったスープカレーを販売する「おくしばあちゃん」で実施した。同店では2月ごろから売り上げが下がり始め、3月は前年比50%減、4月は80%以上減っている。「食べタク」の試みに同店の吉口浩之さん(40)は「ニーズは多い」とみる。
注文したスープカレー5食をタクシー運転手から受け取った専業主婦の木村麻弥さん(39)は「子どもと一緒に買い物にも行きづらいので、サービスはありがたい。利用できる店舗が広がってほしい」と期待を寄せる。
配達距離は3キロ以内で、店側は300円、消費者は500円を救援サービス料として現金でタクシー会社に支払う。注文したい人は、飲食店とタクシー会社にそれぞれ電話やLINEなどで依頼する。メディアリンクは、配達を希望する市内複数の飲食店をまとめたサイトを作成中。掲載は無料で、50件以上の問い合わせが来ているという。
タクシー会社は原則、人を乗せずに荷物だけを配送することはできないが、「救援事業等」として、本業がおろそかにならない範囲で、忘れ物の代理取得や病院の順番待ちなどを行ってきた。今回のサービスは同事業の枠組みで実施する。メディアリンクの笹森裕子専務は「テイクアウトが命綱になっている飲食店が増えている中で、可能性のあるサービスだ。多く利用してもらえるよう準備する」と意気込む。
2020年04月18日
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