新型コロナウイルス感染拡大の影響は、ホームレスや日雇い労働者などの生活困窮者にも広がっています。彼らが今、どのような生活を送っているのか、現状を取材しました。
「ビックイシュー」路上販売員の心配事
4月16日、大阪府枚方市にある京阪樟葉駅。64歳の山本新一さんは、大阪市内でホームレス生活をしながら、雑誌「ビッグイシュー」の路上販売員をしています。ビッグイシューには旅行に関する情報や社会問題にまつわる記事などが載せられていて、販売価格450円のうち230円が販売員の報酬です。
大阪府内には約40人の販売員がいますが、まずは販売員として生計を立て、ゆくゆくは別の仕事に就くことでホームレスを減らそうというのが狙いです。
ー中略ー
ビッグイシューは路上でしか販売されていないため、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言や外出自粛要請の影響で売り上げが急激に減少し、3月は2割、4月に入ってからは3割も減ったといいます。
ビッグイシュー発行元の代表は「自立へ向かっていた販売者の生活が再び転落してしまう可能性がある」と危惧しています。
「通行人がガクッと減るわけですから、売れないわけですよね。世間の言葉でいうと“商売にならない”状況に追いやられる。人間としてどんどん追い詰められていってしまう状況下にあると思います。」(ビッグイシュー日本 佐野章二代表)
路上販売員の山本さんは、自身も感染してしまうリスクがあると知りつつ、“常連客が来てくれるかもしれないから”と路上に立ち続けています。
ー中略ー
常連客も山本さんの体調を心配しているようで…
(常連客)「夜はどうしてんの?」
(山本さん)「夜は、雨の日はネットカフェ行っています。」
(常連客)「ネットカフェ使えているの?」
(山本さん)「(今までは)使えているけど、なんかダメみたいなこと言われていますよ。」
(常連客)「みんなどうしてんのかなーって。」
(山本さん)「ねー。」
山本さんは収入の減少ももちろん心配ですが、緊急事態宣言の発表により、ネットカフェが休業要請を受けたことで、雨の日の宿泊先が無くなってしまうことが気がかりだといいます。
ー中略ー
日雇い労働者「こんなに長期にわたってお金がないのは初めて」
新型コロナの影響はホームレスの人たちだけではなく、日雇い労働者にも及んでいます。Aさん(60)は特定の住居を持たず、建設現場などで日雇いの仕事をしながら、長年にわたってネットカフェで寝泊りしてきました。
「夜の13時間パックって書いているでしょう。」(Aさん)
(Qここにどれくらい?何回も泊まっていますか?)
「一番多い。20年も泊まっている。」(Aさん)
しかし、このところ日雇いの仕事も激減してしまったため、ネットカフェでの宿泊も諦めざるを得なくなったといいます。
「ひと月半は仕事ができていない。」(Aさん)
(Q風呂もしばらく入っていないのですか?)
「はい。ここへ最後に泊まったのは2週間くらい前やからな。」(Aさん)
Aさんは、月15万円ほどの収入がありましたが、この1か月半の間はゼロ。少しあった貯金もとうとう底をつきました。
(Qネットカフェに泊まるお金さえないということですか?)
「はい、現状は。(財布に)本当に入っていないんです。2000円とかです。(最近は)新大阪駅の待合室で寝ていたこともあります。(夜に)マクドナルドに行って始発くらいの時間まで夜中営業していたので。駅開く頃に出て、切符を買って、駅の待合室で何時間か寝たり。」(Aさん)
今は日中、知り合いを訪ねて仕事を探していますが見つかる気がしないといいます。
「お金ないことがこんな長期になることは生まれて初めてですね。こういう仕事(日雇い仕事)に関わっていて、こういう状態になっている人はごまんといますわ。」(Aさん)
国や自治体の支援は彼らにも届くのでしょうか。今日もギリギリの生活が続いています。
4/23(木) 16:50配信
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