毎日新聞 2020年5月12日 16時50分(最終更新 5月12日 16時51分)
新型コロナウイルス問題で来客を期待しにくい中、宮崎県延岡市幸町の老舗菓子店「風の菓子 虎彦」が移動販売を始めた。「虎の子便」と名付け、上田耕市社長(66)自ら販売車を運転して住宅地へ。外出が不自由な高齢者が新たな「お得意様」になるなど、思わぬ副産物も。売り上げは順調という。
コロナで客足が落ち込んだが、上田社長は「不要不急の買い物を控えているだけで、菓子の評価が落ちたわけではない」「前もってお知らせし、こちらから出向けばいい」と考え、移動販売を思い立った。
12日は市南部の緑ケ丘地区を訪問。
店の常連客らが車を見つけ集まってくる。事前に配布したチラシを手に首を長くして待っている人も。上田社長は「反響は予想以上。お客さんの笑顔が見られてうれしい」と手応えバッチリだ。
移動販売は新型コロナが終息しても続ける。
「回数は減るかもしれないが、お菓子でほっとする時間を提供したい」と話し、外出しにくい人に対しては、事前に店(0982・32・5500)に連絡をもらえれば自宅にも配達するという。
「風の菓子 虎彦」は昨年創業70周年を迎えたことをきっかけにそれまでの屋号「日向(ひむか)の国 虎屋」から改名した。上田社長は2代目。【荒木勲】
https://mainichi.jp/articles/20200512/k00/00m/040/170000c