2020年5月21日 02時00分
https://mainichi.jp/articles/20200520/k00/00m/040/276000c
2017年の九州北部豪雨で被災し一部不通が続くJR日田彦山線の復旧を巡り、福岡県の小川洋知事が同県東峰村に示したバス高速輸送システム(BRT)の専用道を延伸する新たな案について、県とJR九州が実現へ大筋合意していることが判明した。小川知事は24日に村で住民に方針などを説明し、25日以降にJR九州の青柳俊彦社長らとのトップ会談を開き決定する方向で調整している。
JR九州は、彦山(福岡県添田町)―筑前岩屋(東峰村)間7.9キロを線路を取り除きバス専用道に整備するBRT案を示していた。複数の関係者によると、知事の新案は、専用道を大分との県境にある宝珠山駅まで6.2キロ延伸するもの。不通区間29.2キロに占める専用道の割合は27%から48%に増え、東峰村内は全線が専用道となる。
福岡県とJR九州は副知事と副社長レベルで新案の実現性を検討。延伸でJR九州の負担は当初案の10億8000万円から10億円程度増える見通しだが、鉄道で復旧する場合の負担額(28億円)より安価で、JR九州側も受け入れる方向で調整しているという。
東峰村の渋谷博昭村長は鉄道復旧を主張してきたが、24日の住民説明会後に容認するかどうかの態度を表明する。他の関係自治体はBRT案に一定の理解を示しており、県とJR九州の協議がまとまれば、大分県側も含む関係自治体の首長らでつくる「復旧会議」で最終決定する見通し。
福岡県が同県議会の要望を受け、復旧後の沿線の地域振興に向けた10億円の基金の創設を検討していることも判明。トップ会談では復旧方針の他、地域振興も協議される予定だ。【吉住遊、桑原省爾】