6/14(日) 9:15
毎日新聞
感染者の遺体収容「納体袋」に注文殺到 警察向け販売の業者、全国に発送
川尻工業が製造する「非透過性」の納体袋(右)。色つきのカバーとのセット注文が大半だ=札幌市中央区で、貝塚太一撮影
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、札幌市白石区の専門機器販売会社「川尻工業」には、感染して亡くなった人の遺体を収容する「納体袋」の注文が全国の病院や自治体などから殺到している。4月は例年の約10倍を受注し、5月初旬は1日約300件ものメールや電話が相次いだ。
同社は、警察の鑑識や解剖に使う機器などを専門に扱い、従来は警察向けに納体袋を販売してきた。新型コロナの感染拡大が顕著になった2月ごろから、注文や問い合わせが急増した。
川尻祥明社長は「必要な人の元に届くならば」と注文を受け入れた。これまでに、道や札幌市のほか、東北や関東、関西の自治体や病院など20カ所以上に販売した。
納体袋は透明のビニール製で、ウイルスや血液を完全密閉する構造。厚生労働省の指針は、新型コロナに感染し亡くなった人の遺体について、こうした「非透過性」と言われる袋に入れるよう病院などの関係者に求めている。
同社によると、非透過性の納体袋とグレーのカバーのセット注文が大半という。遺族がひつぎに納められた故人に対面しようとすれば、ひつぎを開け、さらにカバーを取り除かないと見ることができない。
札幌市の葬儀関係者は「遺族に感染のリスクを説明すると、皆さん納得される。カバーを外してまでして『お顔を拝見したい』というご要望はこれまでのところない」と話す。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200614-00000002-mai-soci