陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画が停止された。技術上の不備が発覚し、その改修にかかるコストと期間が合理的でないためと防衛省は停止の理由を説明する。そもそもイージス・アショアには一体、いくらのコストがかかるのか。800億円、1000億円、4664億円……。さまざまな数字が躍ったが、総費用はつかめないままだ。防衛省が停止の理由に挙げたコストも参考値に過ぎなかった。
2017年12月19日、政府は米国製イージス・アショア2基の導入を閣議決定した。その3週間前の11月29日、小野寺五典防衛相(当時)は参院予算委員会で「アショアはひとつ大体800億円ではないか」と答弁した。しかし、閣議決定の直前に価格は大きく変動する。防衛省は12月12日、自民党に対して1000億円弱との見通しを示す。約800億円は、弾道ミサイル防衛に対応するイージス艦の整備費約1700億円から、弾道ミサイル防衛システムを除いた艦の建造費約900億円を差し引いて算出。そこにイージス・アショアの建屋を造るのに必要な約200億円を加算したそうだ。
防衛省は翌18年7月、イージス・アショアに組み込むレーダーの機種を選定した際、「1基当たりの取得経費は約1340億円」と公表した。約7カ月前に示した約800億円に「対応する数字」だとし、金額が増えた要因として、米政府提案の最新鋭レーダーの費用を挙げた。この公表時の資料には、3…(以下有料版で、残り1023文字)
毎日新聞 2020年6月22日 18時19分(最終更新 6月22日 18時19分)
https://mainichi.jp/20200622/k00/00m/010/158000c