政府は陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備を断念したことで、ミサイル防衛体制の見直しを余儀なくされている。陸上イージスの導入を進めた背景には、米国製武器の購入を迫るトランプ米大統領の圧力があったと指摘されるが、実際はどうだったのか。日本のミサイル防衛の歩みを振り返る。【秋山信一】
日本のミサイル防衛構想は、同盟国である米国の提唱に沿う形で進んできた。1998年に中・短距離ミサイルに対応する戦域ミサイル防衛(TMD)構想で米国と共同研究を始めることを決定。米国が射程5500キロ以上の大陸間弾道ミサイルの脅威を包括した弾道ミサイル防衛(BMD)構想を打ち出すと、日本もBMD体制の整備を始め、2003年に迎撃ミサイル「SM3」を搭載したイージス艦と地上配備型迎撃ミサイル「PAC3」の導入を決めた。
現状のBMD体制では、敵の弾道ミサイルが日本に向けて飛んできた場合、まず大気圏外(最高高度約500キロ)でSM3によって破壊を試みる。撃ち漏らした場合は、大気圏内に入ってきたところ(高度十数キロから数十キロ)で、PAC3(パトリオットミサイル)が迎え撃つ。
上空で敵ミサイルに迎撃ミサイルをぶつけるのは困難に思えるが、パトリオットミサイルを導入しているサウジアラビアがイエメンからのミサイルを撃墜しており、100%とはいかないが一定の効果は期待できそうだ。
しかし、日本では「二段構え」とよく言われるが、P…(以下有料版で,残り742文字)
残りの見出し「THAADより優れていたコスト」
タイトルは,第2次安倍内閣が13年に策定した中期防衛力整備計画では「将来の弾道ミサイル防衛システム全体の在り方についての検討を行う」と明記し,いずれも米国製の「新たな装備品の検討」を進めていたという意味。
毎日新聞2020年6月29日 06時30分(最終更新 6月29日 06時30分)
https://mainichi.jp/articles/20200628/k00/00m/010/209000c