2020.12.25 12:49abema.times/石渡嶺司氏
https://times.abema.tv/news-article/8639520
強制わいせつの罪の前科を持つ男性が大学トップに復帰したことが波紋を広げている。
東京福祉大学の元総長だった男性は2008年、部下の女性教職員5人に無理やりキスをするなどの罪で懲役2年の実刑判決を受けた。大学側は当時、男性の復帰を認めないとする改善計画を公表、文部科学省もこれを遵守するように指示してきたものの、男性は大学との関わりを徐々に強め、刑期満了から10年を過ぎた先月、総長職に復帰したという。
大学側は「創立者であり卓越した優秀な経営者で教育者。強いリーダーシップを発揮し健全な大学運営をする必要がある。今年10月25日で刑法上問題がなくなることから復職を決めた」とコメントしているが、文部科学省からの説明要求を受けたことについては「時期や詳細な内容は控える」と回答している。
24日の『ABEMA Prime』に出演した大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は「東京福祉大学だったら有り得るなという感想を持った」と話す。「力を持った創設者が学校法人を経営し続けることはよくあることだし、結果的にはそれでうまくいっているところもある。東京福祉大学も学校法人、グループがいわゆる同族経営で、非常にパワーを持っている。ただ、この総長は他人の話を聞かないワンマンな人物だと業界では有名だ。ごく少数、文部科学省に何を言われようが、マスコミに叩かれようが、“そんなことは知らない。うちはうちでやっていく”という学校もある。そのうちの一校だということだ。判決後も、表沙汰になっていない元教員の告発などがあった」。
同大は昨年、過去3年間に1600人以上の留学生が所在不明になっており、文部科学省の立ち入り調査も受けている。その際にも男性の関与を疑う声が上がったというが、大学側は「本学の経営や教育に関与させることなど全くあり得ません。平成23年に私的な集まりがあって、その中で留学生募集を強化する案を大学関係者に話したことはあるようだが、本学の研究生募集とは全く関係のない話だ」と反論している。
石渡氏は「留学生の問題については、2004年、2011年に表面化した結果、文部科学省も基準を強め、きちんと受け入れようという方向に変わっていったが、東京福祉大学は悪く言えば悪知恵を働かせて、非正規の留学生としてお試し的に入れてみて、うまく大学とマッチングすれば正規の留学生としましょうという研究生の制度を利用し、それなら大量に受け入れても問題ないだろうということでやってきた。これも業界の中では評判になっていた」。
また、今後について石渡氏は「実刑判決を受けて10年以上経過しているし、総長に再任することに法的な問題は一切ない。ただ、その地位を悪用したセクハラ、パワハラで逮捕された人物が再任するということが社会的に許されるのか、という問題がある。昨今、児童生徒に対してわいせつ事件を起こしてしまった教員の復帰の問題がこれだけ社会問題化している。この総長の場合、職員に対するわいせつ事件ではあったが、地位を濫用したもので、被害者が何人もいるわけだ。ここはもう少し議論をし、ハードルを上げていくことが適切なのではないかと考える」との考えを示す。
「このような問題が起きる大学なので、おそらく教職員が声を上げにくい構造が温存されてしまっているのだろう。現状には満足していない方も多いと思うが、そこは各自の判断になってしまうし、条件のいいところがあれば流れていく人もいれば、勤め続けざるを得ないという方もいるのだろう。また、報道を受けて受験生そのものは減っていくだろうが、少子化ではあるが4年制大学への進学者は増加しているので、やはり東京福祉大学にも一定数は入っていくと思う。4年制大学というのは、意外と潰れそうで潰れない。2000年代に入ってから廃校になった大学は、私の調査によれば15校ぐらいに過ぎない。むしろ250校以上増えている。学校法人としては資産もあるので、生き残る可能性は高い」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
https://times.abema.tv/news-article/8639520
強制わいせつの罪の前科を持つ男性が大学トップに復帰したことが波紋を広げている。
東京福祉大学の元総長だった男性は2008年、部下の女性教職員5人に無理やりキスをするなどの罪で懲役2年の実刑判決を受けた。大学側は当時、男性の復帰を認めないとする改善計画を公表、文部科学省もこれを遵守するように指示してきたものの、男性は大学との関わりを徐々に強め、刑期満了から10年を過ぎた先月、総長職に復帰したという。
大学側は「創立者であり卓越した優秀な経営者で教育者。強いリーダーシップを発揮し健全な大学運営をする必要がある。今年10月25日で刑法上問題がなくなることから復職を決めた」とコメントしているが、文部科学省からの説明要求を受けたことについては「時期や詳細な内容は控える」と回答している。
24日の『ABEMA Prime』に出演した大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は「東京福祉大学だったら有り得るなという感想を持った」と話す。「力を持った創設者が学校法人を経営し続けることはよくあることだし、結果的にはそれでうまくいっているところもある。東京福祉大学も学校法人、グループがいわゆる同族経営で、非常にパワーを持っている。ただ、この総長は他人の話を聞かないワンマンな人物だと業界では有名だ。ごく少数、文部科学省に何を言われようが、マスコミに叩かれようが、“そんなことは知らない。うちはうちでやっていく”という学校もある。そのうちの一校だということだ。判決後も、表沙汰になっていない元教員の告発などがあった」。
同大は昨年、過去3年間に1600人以上の留学生が所在不明になっており、文部科学省の立ち入り調査も受けている。その際にも男性の関与を疑う声が上がったというが、大学側は「本学の経営や教育に関与させることなど全くあり得ません。平成23年に私的な集まりがあって、その中で留学生募集を強化する案を大学関係者に話したことはあるようだが、本学の研究生募集とは全く関係のない話だ」と反論している。
石渡氏は「留学生の問題については、2004年、2011年に表面化した結果、文部科学省も基準を強め、きちんと受け入れようという方向に変わっていったが、東京福祉大学は悪く言えば悪知恵を働かせて、非正規の留学生としてお試し的に入れてみて、うまく大学とマッチングすれば正規の留学生としましょうという研究生の制度を利用し、それなら大量に受け入れても問題ないだろうということでやってきた。これも業界の中では評判になっていた」。
また、今後について石渡氏は「実刑判決を受けて10年以上経過しているし、総長に再任することに法的な問題は一切ない。ただ、その地位を悪用したセクハラ、パワハラで逮捕された人物が再任するということが社会的に許されるのか、という問題がある。昨今、児童生徒に対してわいせつ事件を起こしてしまった教員の復帰の問題がこれだけ社会問題化している。この総長の場合、職員に対するわいせつ事件ではあったが、地位を濫用したもので、被害者が何人もいるわけだ。ここはもう少し議論をし、ハードルを上げていくことが適切なのではないかと考える」との考えを示す。
「このような問題が起きる大学なので、おそらく教職員が声を上げにくい構造が温存されてしまっているのだろう。現状には満足していない方も多いと思うが、そこは各自の判断になってしまうし、条件のいいところがあれば流れていく人もいれば、勤め続けざるを得ないという方もいるのだろう。また、報道を受けて受験生そのものは減っていくだろうが、少子化ではあるが4年制大学への進学者は増加しているので、やはり東京福祉大学にも一定数は入っていくと思う。4年制大学というのは、意外と潰れそうで潰れない。2000年代に入ってから廃校になった大学は、私の調査によれば15校ぐらいに過ぎない。むしろ250校以上増えている。学校法人としては資産もあるので、生き残る可能性は高い」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)