2020年12月29日 15:33 JST
中国企業が開発した新型コロナウイルス感染症(COVID19)ワクチンの臨床試験を行っている新興国の中で、パキスタンほど中国に友好的な国はそうないだろう。中国が何年にもわたり道路・鉄道・発電所に700億ドル(約7兆2600億円)近い融資をしたパキスタンでは、2つの中国製ワクチン臨床試験が進行中だ。政府高官さえも接種を受けている。
だが同国最大の都市カラチで配車アプリ「バイケア」の二輪車運転手として働くファルマン・アリ・シャーさんは、中国製ワクチンの接種を「受けるつもりはない。信用していない」と言う。
パキスタンなど中国製ワクチンの臨床試験が進む国々で重ねたインタビューや調査などで示されたのは、中国製ワクチンが十分な信頼性を得ていないということだ。こうした不信感に加え、ワクチン供給を中国に依存せざるを得ない貧しい数十の国々で国民が質の劣ったワクチンを与えられたと感じれば、世界的に大きな政治問題になる可能性もある。
中国政府が打ち出した各国へのワクチン供給計画が意図していたのは、明確な外交的勝利だ。だがこれまでのところ緊急使用を認めているのは中国を除けばアラブ首長国連邦(UAE)だけだ。
メキシコの元駐中国大使で現在はマクラーティー・アソシエーツのシニアディレクターを務めるホルヘ・グアハルド氏は「中国にはワクチン外交を行い、人々の命を救う製品を配布する絶好の機会がある」と指摘。その上で、 「私の経験では中国は外交を持ち出すたびに大失敗する。支援を受けた国々を怒らせてしまうのだ」と話す。
同氏によれば、ワクチン供給と引き換えに中国が相手国に求めているのは、米政府が制裁を発動している華為技術(ファーウェイ)の第5世代(5G)移動通信技術を利用するという約束、あるいは重要セクターに中国が投資することを認めることだ。「こうした言動の歴史を踏まえれば、また繰り返されても驚くことではない」と語る。
中国外務省はブルームバーグからの質問に対し、ワクチン開発中の中国企業は法律を厳格に順守し、臨床試験の第1、2相でワクチンが安全で効果的であることが示されたと説明した。中国政府は7月以降、100万回以上の緊急ワクチン投与を行い、「深刻な副反応は見つかっていない」ともコメントした。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-12-29/QM2ISKT1UM0W01
中国企業が開発した新型コロナウイルス感染症(COVID19)ワクチンの臨床試験を行っている新興国の中で、パキスタンほど中国に友好的な国はそうないだろう。中国が何年にもわたり道路・鉄道・発電所に700億ドル(約7兆2600億円)近い融資をしたパキスタンでは、2つの中国製ワクチン臨床試験が進行中だ。政府高官さえも接種を受けている。
だが同国最大の都市カラチで配車アプリ「バイケア」の二輪車運転手として働くファルマン・アリ・シャーさんは、中国製ワクチンの接種を「受けるつもりはない。信用していない」と言う。
パキスタンなど中国製ワクチンの臨床試験が進む国々で重ねたインタビューや調査などで示されたのは、中国製ワクチンが十分な信頼性を得ていないということだ。こうした不信感に加え、ワクチン供給を中国に依存せざるを得ない貧しい数十の国々で国民が質の劣ったワクチンを与えられたと感じれば、世界的に大きな政治問題になる可能性もある。
中国政府が打ち出した各国へのワクチン供給計画が意図していたのは、明確な外交的勝利だ。だがこれまでのところ緊急使用を認めているのは中国を除けばアラブ首長国連邦(UAE)だけだ。
メキシコの元駐中国大使で現在はマクラーティー・アソシエーツのシニアディレクターを務めるホルヘ・グアハルド氏は「中国にはワクチン外交を行い、人々の命を救う製品を配布する絶好の機会がある」と指摘。その上で、 「私の経験では中国は外交を持ち出すたびに大失敗する。支援を受けた国々を怒らせてしまうのだ」と話す。
同氏によれば、ワクチン供給と引き換えに中国が相手国に求めているのは、米政府が制裁を発動している華為技術(ファーウェイ)の第5世代(5G)移動通信技術を利用するという約束、あるいは重要セクターに中国が投資することを認めることだ。「こうした言動の歴史を踏まえれば、また繰り返されても驚くことではない」と語る。
中国外務省はブルームバーグからの質問に対し、ワクチン開発中の中国企業は法律を厳格に順守し、臨床試験の第1、2相でワクチンが安全で効果的であることが示されたと説明した。中国政府は7月以降、100万回以上の緊急ワクチン投与を行い、「深刻な副反応は見つかっていない」ともコメントした。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-12-29/QM2ISKT1UM0W01