ジェネリック医薬品(後発薬)メーカーの小林化工(株)が製造した水虫薬に睡眠導入剤成分が混入し、健康被害が相次いだ。同社の筆頭株主は、総合リース大手のオリックス(株)。2020年1月、小林化工の株式の過半数を取得し、連結子会社化して取締役2人と監査役を送り込んだばかりだった。得意のM&A(合併・買収)でつまずいた。
※国内最長の116日間の業務停止処分へ
水虫などの皮膚病用の飲み薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、福井県が薬を製造したジェネリック医薬品(後発薬)メーカー、小林化工(株)(福井県あらわ市、小林広幸代表取締役社長・最高経営責任者(CEO)、非上場)に対し、全国で最長となる116日間の業務停止処分とする方針を伝えた。1月28日、各紙が一斉に報じた。今後、福井県は同社から弁明書が出されたらその内容を踏まえ、2月前半に処分を決定する。
医薬品医療機器法に基づく製薬会社への業務停止命令は、2016年に国の承認外の方法で血漿製剤を製造した熊本市の「(一財)化学及血清療法研究所(化血研)」に出された110日間がこれまでの最長。小林化工への116日間の業務停止は、これを上回る。
化血研は、国内3大ワクチンメーカーで、熊本県を代表する法人だったため、その衝撃は大きかった。化血研は解体。本体は研究に専念、製薬事業は明治ホールディングス(株)が設立した新会社KMバイオロジクス(株)に譲渡された。
小林化工は「解体宣告」に等しい国内最長の業務停止処分を受ける。その理由を探る。
(中略)
※後発医薬品「御三家」につぐ2番手グループ
小林化工はどんな会社か。非上場会社なので、公開データに乏しく、よくわからない。
経口剤や注射剤などのジェネリック医薬品のメーカーで、誤飲を防ぐ視認性の高い製剤など付加価値の高い医薬品を扱っているほか、市場成長が見込める抗がん剤の開発も手がけていると報じられている。後発医薬品業界では、東証一部上場の日医工(株)、沢井製薬(株)、東和薬品(株)の“御三家”に続く、第2グループに位置する。ジェネリック医薬品とは、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に発売される新薬と同じ成分の後発薬をいう。
(中略)
※自己資本比率88.8%。財務内容抜群の優良企業
後発医薬品業界には、追い風が吹いた。医療費抑制の一環として、政府は2002年から後発薬の普及目標を段階的に引き上げていったのだ。これを受けて、医療現場では先発薬から後発薬への置き換えが進んだ。02年から現在までに後発薬の数量割合は2倍に急拡大した。
政府が主導した後発薬使用促進策の流れに乗り、小林化工は急成長を遂げる。「02年当時の売上高は30億円程度でしたが、継続した政府の後押しもあって、10倍以上の370億円に伸ばすことができました」(小林広幸社長)と語る。売上増で得た収益は工場での増産体制の整備に投資。それが増収につながる好循環をもたらした。
20年3月期の決算公告は、貸借対照表のみ開示されている。純利益57億円、利益剰余金715億円。無借金で、自己資本比率は88.8%。財務内容抜群の超優良企業である。
政府は後発薬の使用割合を20年までに80%に引き上げる目標を設定。20年9月時点での後発薬の数量シェアは78.3%とほぼ目標に達した。後発薬市場は成熟期を迎え、成長に陰りが出はじめた。
※さらなる成長を目指し、オリックスの傘下に入る
国内が頭打ちになれば外に目が向き、後発薬企業の海外展開が本格化した。日医工、沢井製薬、東和薬品の国内専業大手は、欧米の後発薬企業を買収し、欧州や米国の市場に進出した。小林化工が選択したのは、オリックスと組んで海外事業を展開することだった。
前出の「JAPIC NEWS」のインタビューに戻る。小林社長は「日本の医薬品市場は、不透明な激動の時代に入ってきていると感じている」「単独で事業を展開できる時代ではなくなってきているという感覚がある」として、オリックスの傘下に入った理由を語っている。
(中略)
このインタビューの直後に、予期せぬリスクが顕在化した。水虫などの皮膚病用の飲み薬に睡眠導入剤の成分が混入し、多数の健康被害が生じた。会社の存亡に関わる危機である。
※全文はソース元へ
2021年02月03日 NETIB-NEWS
https://www.data-max.co.jp/article/39937
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http://2chb.net/r/newsplus/1607928980