アストラゼネカ製「誰に打つのか」 見通せぬ承認、使い道課題に
毎日新聞 2021/4/18 20:19(最終更新 4/18 21:16)
https://mainichi.jp/articles/20210418/k00/00m/040/247000c
新型コロナウイルス感染症のワクチンで、菅義偉首相が米ファイザー社のトップと追加購入で実質合意したのは、厚生労働省で薬事承認審査中の英アストラゼネカ製ワクチンの国内実用化の見通しが立たないことが背景にある。接種後にまれに血栓が生じる海外事例があり、各国で使用制限の動きが拡大。日本でも広く使えない可能性が高まり、急きょ買い増しに動いた。
政府は、ファイザー(1億4400万回)▽アストラゼネカ(1億2000万回)▽米モデルナ(5000万回)――の3社と供給契約を締結。3社とも1人2回打つ必要があり、16歳以上(約1億1000万人)だと、約2億2000万回分が必要だ。承認を前提に3社分を足すと国民に行き渡る計算だった。
■「血栓」複数国が50歳以上限定
局面が変わったのはアストラゼネカ製のワクチンを巡る欧州の動きを受けてのことだ。…
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日本にはアストラゼネカワクチン原液を「ライセンス生産できる技術」も「特殊な原料」もあった。
アストラ製ワクチン、JCRファーマが原液の出荷開始
読売 2021/04/06 20:42
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210406-OYT1T50237/
英製薬大手アストラゼネカは6日、新型コロナウイルスワクチンで使う原液の生産を委託しているJCRファーマ(兵庫県)が、3月末までに原液の出荷を始めたと発表した。出荷された原液は、第一三共(東京)とKMバイオロジクス(熊本県)が、成分調整や容器への充填じゅうてんなど「製剤化」と呼ばれる作業を行う。
オンラインで行った記者会見で明らかにした。
アストラゼネカは今年2月、ワクチンの製造・販売の承認を厚生労働省に申請している。現在審査中で、承認され次第、ワクチンの供給を始める。
アストラゼネカのワクチンは冷蔵で保存でき、他社の製品と比べて管理しやすい。日本政府と1億2000万回分のワクチンを供給する契約を結んでいて、このうち9000万回分以上を国内で生産する計画だ。
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JCRファーマ、樹脂バッグ使い新型コロナワクチン原液を量産、4月にも出荷開始
化学工業日報 2021年4月2日
https://www.chemicaldaily.co.jp/%EF%BD%8A%EF%BD%83%EF%BD%92%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%80%81%E6%A8%B9%E8%84%82%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%B0%E4%BD%BF%E3%81%84%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%83%AF%E3%82%AF/
JCRファーマは、英アストラゼネカ(AZ)から製造受託する新型コロナウイルスワクチンの原液の出荷を4月にも始める。使い捨ての樹脂製バッグを用いた細胞培養技術に精通することが受託の決め手になった。AZ製ワクチンは、海外治験結果を基に2月に日本で承認申請され、国内治験資料の提出も進んでいる。厚生労働省は5月頃の承認を目指しており、国内製造のコロナワクチンが近く実用化する見通し。
JCRファーマは神戸市内の自社工場でワクチン原液を生産する。AZのワクチンはコロナウイルスの抗原遺伝子の運び役にウイルスベクターを使う。JCRは小型のフラスコから大型タンクへと段階的に増やしていったホスト細胞にウイルスを感染させてベクターを量産する。同社は50人以上の従業員を製造に振り向ける万全の体制を敷いて対応する。
JCRがワクチン製造を手がけるのは初めて。AZは使い捨ての樹脂製バッグを培養タンク内に装てんするシングルユース設備を用い、コロナワクチンを開発した。もともと両社は親交があったうえ、JCRがシングルユース設備に精通する日本で数少ない企業であり、転用可能なバイオ医薬品工場が完成する時期とも重なり、製造の打診を昨年3月に受けた。
ワクチン製造の経験がなかったJCRは当初依頼を断ったが、その後、日本政府からの後押しもあり、「国のためならやるしかない」(JCRファーマの芦田信会長兼社長)と受託を決めた。グローバルで実用化を目指している希少難病薬の開発計画に遅れを生じさせない算段が整ったことも決め手になった。
日本政府とアストラゼネカは21年中に1億2000万回分の供給契約を結んでおり、このうち9000万回分の原液をJCRが製造し、残り3000万回分を輸入で対応するもよう。原液を充填するなどの最終製剤化は第一三共のグループ会社やワクチンメーカーのKMバイオロジクスが担う。