兵庫県・淡路島で2004年に見つかった恐竜の下顎(したあご)などの化石について、歯の特徴などから北海道大や岡山理科大などの研究チームが新種の植物食恐竜と突き止めた。淡路島が登場する古事記にちなんで「ヤマトサウルス・イザナギイ」と命名。27日に英科学誌(オンライン)に発表した。
04年5月、同県洲本市でアマチュアの化石収集家、岸本真五さん(72)=同県姫路市=が約7200万年前(白亜紀末期)の地層から下顎や肩などの化石を発見した。当初は、長く平たいくちばしを持つ植物食恐竜・ハドロサウルス科のうち、ランベオサウルス亜科に属するとされていた。今回、研究チームが化石を詳しく分析。普通は複数ある歯列が1列しかない所があるなど、他のハドロサウルス科の恐竜にない特徴があり、新種と判断した。肩の骨の一部が未発達で、同科の中でも原始的な種類と判明した。
学名は古代日本を表す「やまと」と、日本神話に登場する男神「イザナギ」に由来。研究チームの小林快次・北大教授は「古事記で『国生みの島』とされる淡路島で発見された。ハドロサウルスの起源を考える上でも重要」と命名の理由を説明した。
ハドロサウルス科の恐竜を巡っては、北海道むかわ町で発掘された白亜紀末期の全身化石が19年に新種「カムイサウルス・ジャポニクス」と認定された。研究チームによると、原始的なヤマトサウルスと進化したカムイサウルスが同時代に生息していたことは、アジアがハドロサウルス科の繁栄地域だった可能性を示す。化石が共に海の地層から見つかり、海岸近くで暮らしていたと推測される点も世界的に珍しいという。小林教授は「日本独自の視点で進化を解き明かしたい」と述べた。
発見者の岸本さんは「先生方の長い研究の積み重ねでこのような結果となり感謝している。『ヤマトサウルス』という日本人に発音しやすく、親しみやすい名前も気に入っている」と話した。【松室花実】
ソース 毎日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/03eb62ecc084ff97af9ea06485060832531753cd