0001砂漠のマスカレード ★
2021/06/04(金) 15:05:58.48ID:RXBjWucO9「明日、おまえが死ぬといいな」
一瞬、耳を疑った。その男は、どんな理由からであるかは不明だが、筆者の死を望んでいたのだ。何でそんなこと言われなきゃいけないの? 憤りを感じながら、人種差別という4文字がすぐに脳裏に浮かんだ。筆者が住む地域は白人の居住者が中心で、アジア系は少ないからだ。
もしかして、マスクのせい? そんな疑問も生じた。ロサンゼルスでは、ワクチン接種完了者は、屋外でマスクを身につける必要がない。現在、ロサンゼルスではワクチン接種完了者の割合が53%(5月28日時点)。筆者が住むサンタモニカでは、屋外ではマスクを身につけていない人々の方が圧倒的に多い。翻せば、マスクを身につけていること=ワクチン接種未完了者を意味する。
そんな中、2回目のワクチン接種からまだ2週間が経過していないワクチン接種未完了者であるため、今もマスクを身につけている筆者は、肩身が狭い思いに襲われていた。筆者に暴言を放った男は、実は、暴言の中に「まだワクチン接種が完了していないんだな。明日、死ぬといいな」という嫌味を込めていたのだろうか。
男の暴言は人種差別だったかもしれないし、ワクチン接種未完了者に対する差別だったかもしれないし、あるいは、その両方であったかもしれない。もちろん、何かに腹立ち紛れに出た暴言の可能性もある。その暴言が何を意味するかは不明だが、アジア系の筆者にとっては、男の暴言は“差別”以外の何ものにも聞こえなかった。
アジア系の人権団体STOP AAPI HATEの調査によると、2020年3月半ばから2021年3月半ばまで起きたアジア系に対する憎悪事件は6603件、うち、2410件が今年の最初の3ヶ月の間に報告されたものだ。憎悪事件の中でも最多なのが言葉によるハラスメントで64.2%。憎悪事件の被害者の64.8%が女性で、発生地域は40%がカリフォルニア州、発生場所は37.8%が公道である。筆者の体験は、憎悪事件のプロファイルにピタリと当てはまった。
アジア人殺害が専門
6月1日時点で、少なくとも1回ワクチンを接種した人の割合が50%を超え(CDCのデータによる)、感染が収束へと向かっているアメリカ。しかし、パンデミックが残したアジア系差別という爪痕は深い。
テレビをつけると、またかと思うほど、ヘイトクライムが報じられている。
5月28日には、サンフランシスコのチャイナタウンで、精神問題を抱えた逮捕歴のあるホームレスの大男が人々を威嚇しているという一報を受けて現場にかけつけたアジア系の女性の警官が、その男に押し倒されて頭と顔面を殴打される事件が起きた(下の動画)。この男は、襲撃の前日「アジア人殺害が専門だ。中国人はここに属していない」と叫んでいたという。
5月31日には、ニューヨークのチャイナタウンで、55歳のアジア系の女性が、向かいから歩いてきた48歳の男に顔面パンチを受けて地面に倒れ、病院に搬送された。男は逮捕され、精神鑑定のために病院に搬送された。
アジア人憎悪から受けるストレス
前述のSTOP AAPI HATEは、5月27日に発表した「メンタルヘルスレポート」で、パンデミック下、アジア人差別が被害者のメンタルに与える影響について報告している。それによると、人種差別を受けたアジア系の人々の多くが、新型コロナというパンデミックよりも、アジア人憎悪により精神的ストレスを受けていることがわかった。ストレスの最大の原因はアジア系差別であると回答したのは71.7%である一方、新型コロナが健康に与える影響と回答した人々は52.9%だった。
また、「メンタルヘルスレポート」は人種差別を受けたアジア系の5人に1人がトラウマに襲われているが、人種差別されたことを報告後はトラウマが軽減したこと、人種差別を受けたアジア系はうつ、不安、ストレス、肉体的問題などの症状を示していること、パンデミック下での人種差別とPTSDは強い関連性があることなども報告している。
重要なのは、人種差別された後トラウマに襲われたことを報告した人の約28%が報告後はトラウマに襲われなくなったことだ。「自身の人種差別体験を話すことが、人種差別により生じた心の重荷を下ろすことに繋がる」と「メンタルヘルスレポート」は報告し、話すことによってトラウマを癒すことの重要性を訴えている。
https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20210604-00241168/
6/4(金) 7:34