新型コロナウイルスの感染拡大のペースが鈍化し始め、対策のための行動制限が全米各地で緩和される中、
ワクチンを接種しておらず、感染から守られていない子供や若者たちが、社会全体の「気の緩み」の犠牲になる危険性が高まっている。
米国小児科学会によると、今年5 月21〜27日の1週間の新規感染者は、24.3%が未成年者だった。
だが、当然ながらこの数値には、すべての感染者が含まれているわけではない。実際の感染者数は、報告されている数を上回る可能性がある。
マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保といった感染対策を継続するとともに、未成年者のワクチン接種を急ぐ必要がある。
米疾病対策センター(CDC)の調査によると、2020年8月に感染者が急増したミシシッピ州では当時、
18歳未満の感染の90%以上が見落とされていた可能性があるという。
また、今年4月初旬以降は、幼児と10代前半の感染者数が、65歳以上を上回ることがある一方で、18 歳未満の入院者数には、減少がみられていない。
未成年者の感染者・入院者数が増加する理由は、学校の対面授業が再開されたことや、各地で経済活動が再開されたことだけではないとみられる。
流行の中心がより感染力の強い変異株(英国型、カリフォルニア型)に置き換わったことも要因だろう。
5月末に公開されたある査読前論文では、未成年者が変異株の宿主となり、感染を拡大させている可能性が指摘されている。
研究チームは2020年3月〜今年4月に感染、国内の9つの小児病院で検査を受けた18 歳以下の2119人から採取した検体のゲノムを解析。
英国型やその他の「懸念される変異株(VOC)」を特定し、感染力を高める変異や感染者の免疫を逃れる変異について調査した。
その結果、変異株に感染していたことが確認されたのは560人で、うち75% が12歳未満の子供だったという。
複数の施設を運営する学習塾や学校で5月にクラスター(感染者集団)が発生したシンガポールのチャン・チュンシン教育相は、
新型コロナウイルスの変異株の一部は「毒性が大幅に高まっており、幼い子供たちが感染した場合に重症化する危険性も高まっている」と警戒感を示している。
また、同国のオン・イエクン保健相も、インドで最初に確認された変異株「B.1.617」について、「子供たちにより大きな影響を与えているようだ」と述べている。
一方、米国では未成年者に対する新型コロナウイルスの脅威は、過小評価されている。
これまでに感染し、死亡した未成年者は少ないとして、危険性に対して否定的な態度を取る人も多い。
だが、防ぐことができたはずの死は、すべてが悲劇だ。
さらに、感染した子供に多い多系統炎症性症候群(MIS-C)や、感染後の後遺症(Long Covid)についても、まだわからないことが多い。
イタリアで発表された査読前論文によると、未成年者129人を対象に行われた小規模な調査の結果、
感染が確認されてから17週間以上がたっても何らかの症状が残っている人は、半数以上にのぼったという。
さらに、その症状によって日常生活に支障が出ているという人は、43%だった。
未成年者の間で実際にどれだけ感染が広がっているのか、全体像を正確に把握することはできていない。
オハイオ州の大学病院レインボー乳児・小児病院の幹部、エイミー・エドワーズ医師はブルームバーグに対し、
新型コロナウイルス感染症については、「小児科の分野が、かなり無視されている」と指摘。
「病院に行かず、自宅でブレインフォグ(脳にかかる霧)や慢性的な倦怠感、繰り返す発熱、奇妙な発疹などに悩まされている子供たちがいる」と話している。
https://forbesjapan.com/articles/detail/41804
ワクチンを接種しておらず、感染から守られていない子供や若者たちが、社会全体の「気の緩み」の犠牲になる危険性が高まっている。
米国小児科学会によると、今年5 月21〜27日の1週間の新規感染者は、24.3%が未成年者だった。
だが、当然ながらこの数値には、すべての感染者が含まれているわけではない。実際の感染者数は、報告されている数を上回る可能性がある。
マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保といった感染対策を継続するとともに、未成年者のワクチン接種を急ぐ必要がある。
米疾病対策センター(CDC)の調査によると、2020年8月に感染者が急増したミシシッピ州では当時、
18歳未満の感染の90%以上が見落とされていた可能性があるという。
また、今年4月初旬以降は、幼児と10代前半の感染者数が、65歳以上を上回ることがある一方で、18 歳未満の入院者数には、減少がみられていない。
未成年者の感染者・入院者数が増加する理由は、学校の対面授業が再開されたことや、各地で経済活動が再開されたことだけではないとみられる。
流行の中心がより感染力の強い変異株(英国型、カリフォルニア型)に置き換わったことも要因だろう。
5月末に公開されたある査読前論文では、未成年者が変異株の宿主となり、感染を拡大させている可能性が指摘されている。
研究チームは2020年3月〜今年4月に感染、国内の9つの小児病院で検査を受けた18 歳以下の2119人から採取した検体のゲノムを解析。
英国型やその他の「懸念される変異株(VOC)」を特定し、感染力を高める変異や感染者の免疫を逃れる変異について調査した。
その結果、変異株に感染していたことが確認されたのは560人で、うち75% が12歳未満の子供だったという。
複数の施設を運営する学習塾や学校で5月にクラスター(感染者集団)が発生したシンガポールのチャン・チュンシン教育相は、
新型コロナウイルスの変異株の一部は「毒性が大幅に高まっており、幼い子供たちが感染した場合に重症化する危険性も高まっている」と警戒感を示している。
また、同国のオン・イエクン保健相も、インドで最初に確認された変異株「B.1.617」について、「子供たちにより大きな影響を与えているようだ」と述べている。
一方、米国では未成年者に対する新型コロナウイルスの脅威は、過小評価されている。
これまでに感染し、死亡した未成年者は少ないとして、危険性に対して否定的な態度を取る人も多い。
だが、防ぐことができたはずの死は、すべてが悲劇だ。
さらに、感染した子供に多い多系統炎症性症候群(MIS-C)や、感染後の後遺症(Long Covid)についても、まだわからないことが多い。
イタリアで発表された査読前論文によると、未成年者129人を対象に行われた小規模な調査の結果、
感染が確認されてから17週間以上がたっても何らかの症状が残っている人は、半数以上にのぼったという。
さらに、その症状によって日常生活に支障が出ているという人は、43%だった。
未成年者の間で実際にどれだけ感染が広がっているのか、全体像を正確に把握することはできていない。
オハイオ州の大学病院レインボー乳児・小児病院の幹部、エイミー・エドワーズ医師はブルームバーグに対し、
新型コロナウイルス感染症については、「小児科の分野が、かなり無視されている」と指摘。
「病院に行かず、自宅でブレインフォグ(脳にかかる霧)や慢性的な倦怠感、繰り返す発熱、奇妙な発疹などに悩まされている子供たちがいる」と話している。
https://forbesjapan.com/articles/detail/41804