<客室乗務員協会CWAの報告書によると、2021年前半、粗暴な乗客の対応を行ったと回答したCAは、85%だった>
米国の航空業界では2021年、マスク着用の指示などをめぐって、乗客が客室乗務員(CA)に暴言を吐いたり暴行したりするといった事案が増加している。
こうした傾向を受けて、コロナ禍で一時は中断されていたCA向けの護身術のクラスが再開されるに至っている。
米国で働くCAのための労働組合「客室乗務員協会CWA」(AFA)は、全国のCA5000人弱(勤務先の航空会社は30社に上る)を対象に、
乗客による粗暴な振る舞いについて、今年6月25日〜7月14日にオンライン調査を実施。このほど結果を発表した。
報告書によると、2021年前半、粗暴な乗客の対応を行ったと回答したCAは、85%だった。
今年に入ってすでに5回以上行ったと答えたCAは58%に上り、身体的な暴行を受けたという人は17%いた。
乗客による粗暴な言動の引き金には、「マスク着用の規則」「飲酒」「安全の確認」「遅延」「欠航」などがあり、
複数が絡み合うことが多いという。CAからの指示に腹を立てて、暴言を吐く、座席を押したり蹴ったりする、
ごみをCAに投げつける、トイレを汚す、到着後に空港内まで怒鳴りながらついてくる、などが報告されている。
サウスウエスト航空では今年5月、女性客にシートベルトを締めるよう求めたCAが殴られた。
米CBSニュースによると、このとき殴られたCAは、歯を2本失ったという。殴った女は、飛行機がサンディエゴ国際空港に着陸後に逮捕されている。
一方6月には、ロサンゼルスからアトランタに向かっていたデルタ航空機内で、非番のCAが機内アナウンス設備を使って、
酸素マスクを使用するよう乗客に指示を始めた。機体の扉を開けようとしたとの情報もある。
止めようとした乗務中のCAや他の乗客とこの人物とでもみ合いになり、飛行機はオクラホマシティに緊急着陸した。
オクラホマシティの地元紙によると、デルタ航空側は当該人物が扉を開けようとした事実については否定しているが、
機内で言い争いがあったことは認めている。地元紙は、この人物はオクラホマシティで警察当局に身柄を拘束されたと報じている。
こうした暴力案件が発生した場合、CAから連邦航空局(FAA)に報告がなされる。
FAAが発表している数字によると、今年に入ってから8月8日までの報告数は3889件となっており、マスクに関連したものは2867件。
FAAがそのうち実際に調査を行った件数は682件に上っている。1995年から2020年までで年間最多件数だったのは2004年の310件であり、すでに倍以上だ。
なお、2020年は183件だった。
FAAは、乗客による粗暴で危険な行為には一切容赦しない「ゼロ・トレランス」の方針を掲げている。
6月には、乗務員に暴力を振るった人物やマスク着用を拒否した人物など8人に対し、9000〜2万2000ドル(約10万〜240万円)の民事制裁金を要求している。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/08/2021ca_1.php
米国の航空業界では2021年、マスク着用の指示などをめぐって、乗客が客室乗務員(CA)に暴言を吐いたり暴行したりするといった事案が増加している。
こうした傾向を受けて、コロナ禍で一時は中断されていたCA向けの護身術のクラスが再開されるに至っている。
米国で働くCAのための労働組合「客室乗務員協会CWA」(AFA)は、全国のCA5000人弱(勤務先の航空会社は30社に上る)を対象に、
乗客による粗暴な振る舞いについて、今年6月25日〜7月14日にオンライン調査を実施。このほど結果を発表した。
報告書によると、2021年前半、粗暴な乗客の対応を行ったと回答したCAは、85%だった。
今年に入ってすでに5回以上行ったと答えたCAは58%に上り、身体的な暴行を受けたという人は17%いた。
乗客による粗暴な言動の引き金には、「マスク着用の規則」「飲酒」「安全の確認」「遅延」「欠航」などがあり、
複数が絡み合うことが多いという。CAからの指示に腹を立てて、暴言を吐く、座席を押したり蹴ったりする、
ごみをCAに投げつける、トイレを汚す、到着後に空港内まで怒鳴りながらついてくる、などが報告されている。
サウスウエスト航空では今年5月、女性客にシートベルトを締めるよう求めたCAが殴られた。
米CBSニュースによると、このとき殴られたCAは、歯を2本失ったという。殴った女は、飛行機がサンディエゴ国際空港に着陸後に逮捕されている。
一方6月には、ロサンゼルスからアトランタに向かっていたデルタ航空機内で、非番のCAが機内アナウンス設備を使って、
酸素マスクを使用するよう乗客に指示を始めた。機体の扉を開けようとしたとの情報もある。
止めようとした乗務中のCAや他の乗客とこの人物とでもみ合いになり、飛行機はオクラホマシティに緊急着陸した。
オクラホマシティの地元紙によると、デルタ航空側は当該人物が扉を開けようとした事実については否定しているが、
機内で言い争いがあったことは認めている。地元紙は、この人物はオクラホマシティで警察当局に身柄を拘束されたと報じている。
こうした暴力案件が発生した場合、CAから連邦航空局(FAA)に報告がなされる。
FAAが発表している数字によると、今年に入ってから8月8日までの報告数は3889件となっており、マスクに関連したものは2867件。
FAAがそのうち実際に調査を行った件数は682件に上っている。1995年から2020年までで年間最多件数だったのは2004年の310件であり、すでに倍以上だ。
なお、2020年は183件だった。
FAAは、乗客による粗暴で危険な行為には一切容赦しない「ゼロ・トレランス」の方針を掲げている。
6月には、乗務員に暴力を振るった人物やマスク着用を拒否した人物など8人に対し、9000〜2万2000ドル(約10万〜240万円)の民事制裁金を要求している。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/08/2021ca_1.php