https://news.yahoo.co.jp/articles/c30e1468ef95909f9bcfc016a70d4b0e04f8875b
長年フィル・ジェンセン氏は何かと騒動を起こしてきた。米サウスダコタ州の上院議員だった2014年には法案SB128号を提出。
これは州内の企業に性的嗜好に基づいた顧客の選別や従業員の解雇を認めることで、LGBTQ差別にGOサインを出すような法案だった。
しかし法案は通らなかった。ジェンセン氏はラピッドシティ・ジャーナル紙とのインタビューで、この法案が「言論の自由と私有財産権」を守るためのものだと力説。
差別に対抗するためには自由市場を拠り所にするべきだ、との主張を繰り返した。
「仮にKKKのメンバーが小さなパン屋を運営していたとしましょう。我々の大多数は、その人が黒人客への接客を拒否するなどとんでもない、と思うでしょう。
それにですよ? 誰もその店で買わなくなるので、その店は数週間かそこらで廃業するでしょう」
(この発言に当時州知事だった共和党のデニス・ドーガード氏は反論し、「彼の発言はサウスダコタ州の価値観から完全に逸脱していると思います」と述べた)
この騒動を受け、ラピッドシティの地元紙はジェンセン議員を「サウスダコタでもっとも保守的な政治家」という見出しを掲載した。
そして同じ年、ジェンセン議員は政治家としての履歴書に「オース・キーパーズ(Oath Keepers)の会員」という新たな肩書を加えたとみられる。
オース・キーパーズとは連邦政府の権威に対抗する過激派民兵グループだ。
メンバーは陰謀論的な思考に従った10項目に誓いを立て、迫り来る政府の圧政に立ち向かうよう求められる。
これら10項目の誓いは「1. 我々はアメリカ国民から武器を奪ういかなる命令にも従わない」というような、かなり他愛もないものから始まるが、やがて現実から逸れていく。
例えば6番目の誓いは、「我々はアメリカの都市を封鎖し、これらの都市を巨大強制収容所に変えるようないかなる命令にも従わない」というものだ。
メンバーは暴動が起きると、しばしば武装自警団として姿を現す。なかでも顕著なのが2014年ネバダ州で起きたバンディ牧場立てこもり事件と、ミズーリ州ファーガソンで起きた暴動だ。
1月6日のアメリカ連邦議会襲撃では、同グループのメンバー数十人が事件に関与したとして起訴されている。
■3万8000人以上の会員名簿が漏洩
ここ最近、Distributed Denial of Secretsという情報開示グループがオース・キーパーズのものとみられる記録、メール、チャット履歴など大量の文書を公表した。
彼らはオース・キーパーズのメンバーと思しき3万8000人以上の会員名簿のデータベースへのアクセス権をローリングストーン誌に提供した。
同様の会員名簿を報じた他のメディア――USAトゥデイ紙、オレゴン州公共放送、情報サイトThe Gothamist――は、軍や警察当局の中から数十人の民兵メンバーを特定した。
特定された者の多くはグループとの関わりを認め、中にはすでに退会していると明言した者もいた。情報漏洩の件についてオース・キーパーズに質問を投げたが、返答はなかった。
Distributed Denial of Secretsの共同創立者エマ・ベスト氏の話では、これらのデータはハッカーから提供されたそうだ。
Distributed Denial of Secretsはデータダンプをテクニカル分析にかけ、これらの情報が正当であることは「間違いない」と判断した。
「要するに、ご想像通りのものが全て揃っていました」と、Distributed Denial of Secretsは言う。
「パズルのピースがぴたりとはまりました。データはあまりにも膨大で、実に詳細にわたっていたので、偽造するのは不可能です」
名簿に記載されたオース・キーパーズのメンバーの大多数は個人メールで入会しており、勤務先がすぐに特定できるような詳細は一切ない。
ジェンセン議員の記録は他とは明らかに違っていた。
記載されていたのは州議会のメールアドレスで、議員の敬称には当時の役職で「フィル・ジェンセン上院議員」と書かれていたのだ
(ジェンセン議員は州の上下院どちらにも属していたことがある。現在はラピッドシティの一部を含む第33選挙区の代表下院議員だ)。
記録によれば、ジェンセン議員は2014年に年間会員として入会していたようだ。データベースには、現在の入会状況については記載されていない。
オース・キーパーズ会員名簿に名前が記載されていたこと、また同組織との現在の関係についてジェンセン議員に電話およびメールでの取材を申請したが、返答はなかった。
民兵グループの会員名簿に名前が載っていた公職者はジェンセン議員だけではない。
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