大阪市立大と大阪府立大が統合して4月1日に誕生する大阪公立大で、医学部付属病院の院長人事を巡り内紛が起きている。大学の運営法人は院内の選考会議が推薦した候補者を新院長に任命せず、22日、病院側に再選考を文書で依頼した。大学病院長の人事で法人側が選び直しを求めるのは異例。「府市連携」の看板政策である公立大は、地域貢献の柱となる付属病院のトップが決まらないまま、開学の日を迎えることになる。
院長人事は、院内の選考会議が推薦する人物を法人理事長が任命する仕組み。選考会議は市大医学部教授ら院内の4人と、大阪府医師会長ら外部3人の計7人で構成される。荒川哲男・市大学長(3月末で学長を退任予定。元市大医学部長)ら4人が立候補(後に2人が辞退)し、1月31日に荒川氏が選ばれた。
「ガバナンス上、良くない」
ところが、大学を運営する「公立大学法人大阪」の西沢良記理事長は「学長が病院長になるのは天下り的な人事で、大学のガバナンス(組織統治)上、良くない」との理由で院内の選考結果を認めず、再選考を求めた。西沢理事長は市大の医学部長と学長を歴任し、2019年から法人理事長を務めている。西沢理事長は取材に「再選考の依頼は苦渋の選択。新しい大学の将来に禍根を残したくなかった」と語った。
法人によると、選考会議で決めた人物が任命されないのは過去に例がなく、当面は院長代理が置かれる。選考会議議長の河田則文・市大医学部長は「実績などで圧倒的な差があり、荒川氏を選んだ。規定通りに選考をしたのに認めないのは強引で筋が通らない」と反論し、今後、第三者委員会を設置して理事長の対応について検証する考えを示した。
「独立性侵害された」
今回の院長人事を巡っては、院内の選考会議と法…(以下有料版で、残り559文字)
毎日新聞 2022/3/22 20:20(最終更新 3/22 20:49)
https://mainichi.jp/articles/20220322/k00/00m/040/282000c