防衛省の正門=東京都新宿区市谷本村町で2019年3月、本橋和夫撮影
「骨太の方針」原案 射程圏外からの攻撃能力など防衛力強化を明記
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20220526-00000092-mai-pol
政府が6月に閣議決定する経済財政運営の指針「骨太の方針」の原案が26日、判明した。防衛省関連では、安全保障環境が一層厳しさを増しているとの認識を示したうえで「国家安全保障の最終的な担保となる防衛力を抜本的に強化する」と明記。敵の射程圏外から攻撃するための「スタンドオフ防衛能力」の強化などを具体策として列挙した。
射程の長いミサイルは、相手国のミサイル発射拠点などを破壊する「敵基地攻撃」にも使用できる。野党などからはスタンドオフ防衛能力の強化について、敵基地攻撃能力の先取りではないかとの批判も出ている。
スタンドオフ防衛能力を巡っては、政府は2018年の防衛計画大綱で「自衛隊員の安全を確保しつつ、我が国への攻撃を効果的に阻止する」ために保有すると明記し、国産長射程ミサイルの開発などに取り組んでいる。一方、敵基地攻撃能力の保有について岸田文雄首相は「あらゆる選択肢を排除することなく現実的に議論する」と説明してきた。23日の日米首脳会談でも、首相は日本の防衛力を抜本的に強化する考えを示すとともに、敵基地攻撃能力の保有を含め「あらゆる選択肢を排除しない」とバイデン米大統領に伝えた。
原案では、米中の競争やロシアのウクライナ侵攻に触れたうえで「インド太平洋地域、とりわけ東アジアにおいても力による一方的な現状変更やその試みが生じて」いると指摘。宇宙・サイバー・電磁波に関する能力や指揮統制・情報関連機能を強化するとともに、民生技術を取り込んで無人機などの先端技術の研究開発を進めるとした。
質の高い自衛隊員の十分な確保・処遇改善に取り組むことや、在日米軍再編を推進する方針も盛り込み、「さまざまな取り組みを積み上げ、将来にわたり我が国を守り抜く防衛力を構築する」と明記した。【川口峻】