https://news.yahoo.co.jp/articles/94ed01ef6596f4cdd6427ba5f7b08a0ecfc32a17
全国的にシカの生息数が増えるなか、大山隠岐国立公園でもニホンジカの目撃情報が急増しています。
シカが増えすぎて、大山がピンチに…実態を取材しました。
暗闇のなか光る、クリクリとした瞳。その後ろには、白くて可愛らしいお尻も見えます。
ニホンジカです。鼻で地面をもぞもぞしたり、植物をかじる姿も確認できます。
また、こちらの映像には、大きな角を持った雄ジカの後ろ姿が。
これらは、大山隠岐国立公園内に設置されたカメラの映像や写真です。
環境省大山隠岐国立公園管理事務所 尾﨑絵美 所長
「大山隠岐国立公園内には10年ぐらい前から一部にカメラを設置していますけど、最近シカが見られる頻度が高くなってきています」
大山隠岐国立公園内に設置されたカメラには、3~4年ほど前からニホンジカの写る頻度が増えているといいます。
環境省大山隠岐国立公園管理事務所 尾﨑絵美 所長
「食痕、シカが食べる跡の調査とかの推定ではあるんですけど、鳥取県岡山県の東辺りから来ているんじゃないかと言われています」
■立派な雄ジカの角も落ちていた…
シカが増えると、大山はピンチに陥ると言います。
その証拠があるということで、専門家とともに大山を歩いてみました。
小崎純佳キャスター
「ここも、ここも、先っぽだけ食べられてしまっている状態ですね」
大山観光道路から少し入った林の中では、シカの大好物・アオキという植物がたくさん食べられていました。
シカによる食害、つまり「食い荒らし」です。
また、さらに奥に進むと…
大山自然歴史館 矢田貝繁明 館長
「これなんか、リョウブっていう木で、春先の雪がまだ残っていて、アオキなんかが芽が出てないときに食べるものが無くて、シカがこれの皮をみんな食べてしまいます」
これまたシカの好物・リョウブの木。無残に皮がはがされています。
皮が全てはがれてしまうと、樹液が上がらなくなってしまい、枯れる可能性があると言います。
さらに谷田貝館長は、こんなものを見せてくれました。
大山自然歴史館 矢田貝繁明 館長
「これ、おととい拾った雄ジカの角です。ついこの近くで拾ったんですけど、こういう角が落ちているということは、相当数のシカがこのあたりに住んでいて、生息している可能性が非常に高いです」
立派な雄ジカの角です。
このほか、枡水高原近くの牧草地帯では、シカのふんが10か所ほど確認できました。
■なぜ「シカ」が増えているのか?
一体、なぜシカが増えているのでしょうか。
専門家の見解は…
大山自然歴史館 矢田貝繁明 館長
「繁殖力が強いし、今は昔と違って猟師の人が高齢化しています。シカは増える一方ですよ、これから」
猟師の高齢化も背景にあるのではと考えています。
2013年、鳥取県八頭町でドライブレコーダーがとらえた、シカと乗用車が衝突する場面です。
近年はシカとの衝突事故が全国でも相次いでいます。
オオカミなどの天敵がいないこともシカ増加の大きな要因のひとつだと言いますが、専門家は危機感を募らせています。
大山自然歴史館 矢田貝館長
「植生をシカは全部食ってしまうので、そうすると、草や低木を食べている昆虫、それからそれを食べる野鳥とかがいなくなります。
生活できなくなるので、生態系の破壊が起きてくると思います」
国立公園が直面するシカ被害。
鳥取県では許可捕獲でシカを捕獲した人には捕獲奨励金を交付するなど、駆除の対策を進めています。