運営会社が12月15日に破産手続き開始を公表し、全店舗が営業停止となった美容脱毛サロン大手「銀座カラー」。大々的な広告や、施術が何度も受けられるプランなどで近年、会員数を伸ばしてきた脱毛サロンだが、今年は倒産が増えているという。契約する際に何に注意すればいいのか。消費者問題に詳しい識者に聞いた。
帝国データバンクによると、2023年の9月までの脱毛サロンの倒産件数は9件で、前年の4件を上回っている。銀座カラーのように全国で店舗を展開し、会員数を拡大してきた中規模、大規模の企業で頻発しているのが特徴だという。
銀座カラーの破産手続き開始の発表に、X(ツイッター)では「現金一括で払ったのですが、まだ回数残ってます」「私、通い放題で40万払ったのに。返済無し?! 詐欺じゃん」などと戸惑いの声が上がっている。
消費者問題に詳しい日本女子大の細川幸一教授は「大々的に広告を出していたり、手広くやっていたりする脱毛サロンは、費用がかかっていて、自転車操業になっているところもあるのではないでしょうか。支払いを急がせる場合も要注意です」と話す。
細川教授が脱毛サロンを契約する際のポイントの一つに挙げるのが支払い方法だ。
「前払いにせず、都度払いにすれば倒産リスクはありません。また、クレジット分割払いにしていれば、利息はかかりますが、それ以降の支払いの停止をクレジット会社へ求める抗弁を主張することができます」
倒産に絡むトラブルは脱毛サロンに限らない。
18年には晴れ着のレンタル・販売会社「はれのひ」と契約した新成人に、成人の日に振り袖が届かなかった問題が起きた。
00年代には英会話学校の経営破綻や静岡県の注文住宅メーカーの倒産などがあった。
細川教授は「倒産リスクを見極めるのは難しいが、契約する時には倒産する可能性も考えておく必要があります」と指摘する。
一方で、旅行業界には旅行業法に基づく「営業保証金制度」、旅行業協会の「弁済業務保証金制度」による返金制度がある。ただ、被害総額が保証金を上回った場合は全額が戻るわけではない。
脱毛サロンを含むエステ業界ではどうだろうか。
細川教授は「経営が健全かどうかを監視する仕組みにしていかないと駄目だと思います。ただ、脱毛は本来医療行為のはずで、エステ脱毛はあいまいだからこそ存在している部分があります。なかなか保全措置だけを制度化するのは難しいですが、自主的に業界団体が取り組む方法はあると思います」と語る。
経済産業省ヘルスケア産業課によると、業界の取り組みとしては、経産省がまとめた「ヘルスケアサービスガイドライン等のあり方」を基に、NPO法人日本エステティック機構などが自主ガイドラインを策定し、基準を満たしたサロンを認証する制度を設けている。銀座カラーは認証を受けていなかった。
この基準には経営健全性を測るものはなく、「エステティックサロンの経営内容を保証するものではない」と記されているが、「財務状況を記載した書面の備え付け」が項目の一つとされており、サロンを選ぶ際の目安の一つとなり得るという。
経産省ヘルスケア産業課は「有名なエステサロンでも認証を受けていないところがあります。認証を取っている高品質なサロンを利用してほしい」と話している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6cc25ac8fd8521de0974f522e091673af9bf8286