塩原俊彦(元高知大学大学院准教授)
■第35代大統領ジョン・F・ケネディの甥
私はアメリカ大統領選に立候補しているロバート・F・ケネディJr(下の写真)のファンである。彼は、第35代大統領ジョン・F・ケネディの甥であり、そのもとで司法長官だった弟ロバートの息子である。
なぜ彼を遠い日本から応援しているかというと、リベラル・デモクラシーを推進するために民主主義を世界中に輸出しようとする結果、そこら中で戦争を引き起こすことに躊躇しないジョー・バイデン大統領や、アメリカの介入主義を批判しながらも、自分の個人的利益を最優先しながら嘘ばかりついているドナルド・トランプ前大統領よりも、少しだけまともであると思うからだ。
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2023年6月20日のケネディJrのウクライナ戦争に対するツイートに注目しなければならない。それはつぎのような内容である。
「私はバイデン大統領に二つの謝罪を求める。第一に、アメリカ国民を欺き、偽りの口実で醜い代理戦争を支持させたこと。第二に、より重要なことだが、ウクライナ国民に対し、米国の(想像上の)地政学的利益のために、ウクライナをこの戦争に巻き込み、国を破滅させたことを」
ケネディJrは、ウクライナ戦争がロシアによって引き起こされた侵略戦争であるという一面だけに注目するのではなく、その戦争の引き金となった米国政府のウクライナでのやり口にしっかりと目を向けたうえで、バイデン大統領を批判しているのだ。
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つまり、米国主導で北大西洋条約機構(NATO)を東方に拡大させたことに対して、ロシアがどう危機感を募らせたを、米国は注意深く想像しなければならなかったのだ。しかし、米国は「ロシアの立場に立って考える」ことがないまま、ウクライナを支配下に置こうと、2014年のウクライナのクーデターを支援し、その後も東方拡大を継続しようとした。このため、「アメリカは2022年のロシアの侵攻を誘発したとケネディ(Jr)は考えている」とThe Economistは指摘している。
このケネディJrの見解は、外国に民主主義と自由が広がれば、アメリカの安全保障にもつながるとみなすリベラル・デモクラシーの主張を否定するものだ。実は、米国では長くこのリベラル・デモクラシーに基づく外交が民主党出身の大統領だけでなく、共和党出身の大統領によっても継続されてきた。
しかし、第二次世界大戦後に確立された法律、規範、多国間機関のシステムは、労働力、商品、資本の自由な移動を可能にし、だれにとってもより平和で豊かな世界をもたらすという話が「神話」にすぎなかったのである。
米国の富裕層はますます富み、労働者はますます貧しくなった。もはや「アメリカン・ドリームは消失した」のだ。ケネディJrはこの事実に目を背けていない。この認識は基本的にトランプと同じである。
■懐疑主義者のケネディJr
ただし、彼は環境保護派であり、トランプとは正反対だ。ケネディJRは、薬物犯罪で摘発される代わりに、環境保護デモで何度も逮捕された。
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ケネディJrの懐疑主義の次の焦点はワクチンだった。この問題をつなぐ糸は水銀だった。彼は魚に含まれる水銀の存在に心を痛め、過去に小児用ワクチンに使用された水銀について、苦悩する母親たちから聞いた話に悩まされた。
2005年、彼は『Rolling Stone』誌と『Salon』誌に、防腐剤としての水銀の使用が「小児神経障害の蔓延」につながっていると主張する記事を掲載する。しかし、この記事は科学者たちから非難と信用を失い、最終的には撤回された。
2015年、ケネディJrは「ワールド・マーキュリー・プロジェクト」に参加し、その後「Children's Health Defense(CHD)」となり、現在も会長を務めている。ケネディJrとそのグループは、ワクチンが自閉症を引き起こす可能性があるという話を広めてきた。その他にも、ケネディJrは学校での銃乱射事件と抗うつ剤の使用、飲料水中の化学物質と性同一性障害の関連、「携帯電話の放射線」とガンの関連などを指摘している。
こんな彼には、「陰謀論者」という非難がついて回っている。しかし、「私は証拠をみる」とケネディJrは主張する。「推測はしない」という。「政府の発表に疑問を呈することは厭(いと)わない。そして、それは人々にとって脅威であり、その脅威に対処する方法として、彼らはあなたを陰謀論者だというのだ」というケネディJrの発言は、権力をもつ政府への深い懐疑を物語っている。(以下ソース)
4/17(水) 7:03配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/61ac1133e3347dd0a7532cc8c64c4fa020e623a1