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2024/06/08(土) 08:46:30.26ID:Xs/jcFD29東京都内の一戸建てを含む新築住宅に、太陽光パネルの設置を義務付ける全国初の制度のスタートまで1年を切った。脱炭素化社会の実現を目指す小池百合子知事肝いりの政策で、都は1500億円の基金を昨年3月に創設。一方、多額の税金投入に見合う効果が出るのか疑問視する声も上がる。(三宅千智)
◆CO2半減へ身近な住宅の屋根を活用
「住宅などの建物をサステナブル(持続可能)な性能に転換しなければならない」。2021年9月の都議会で小池知事は、太陽光パネル設置義務化の検討を始めると表明。22年12月には義務化を定めた改正環境確保条例が成立した。
都環境局によると、都内の二酸化炭素(CO2)排出量の7割が建物でのエネルギー使用による。19年度調査で、都内の建物のパネル設置割合はわずか4%。30年までに温室効果ガス排出量を00年比で50%削減する「カーボンハーフ」の達成に向け、身近な住宅の屋根を活用するのが狙いだ。
◆売電などで家計にメリットと試算
家計面でのメリットも期待できるという。昨夏時点の都の試算では、一般的な4キロワットの太陽光パネルを付けると、電気代の差額や売電収入などで初期費用115万円を13年程度で回収可能。30年間で最大140万円の利益が出るという。
住宅メーカーの受け止めはどうか。ある大手の担当者は「家庭部門の脱炭素化には、省エネに加えて創エネも必要不可欠」として、都民の理解が進んでいくことを前提に義務化には前向きな姿勢だ。
◆直接の削減効果は10万トン止まり
一方、脱炭素化への効果を疑問視する声もある。カーボンハーフの実現には家庭部門で942万トンのCO2削減が必要。しかし、新築住宅への義務化による直接の削減効果は年10万トンにとどまる。都は義務化を受けて関心が高まることで、既存建物にもパネルの設置が進むと想定。これらを含めた削減効果は年43万トンを見込むが、都議からは「効果としては物足りないのでは」との声も上がる。
5月28日に制度反対の立場から会見した杉山大志・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹らは、パネルが水没した際に感電を招く恐れがあるなどの問題を列挙。脱炭素について「原子力(発電所)を使うのが現実的な解だ」と述べた。
◆パネルの寿命は20年から30年…その後は廃棄
リサイクルの体制づくりも課題だ。パネルの寿命は20〜30年ほどで、30年代後半にも「大量廃棄時代」が来るとの予測がある。住宅用のパネルは1件当たりの廃棄の量が少なく、収集や運搬が非効率なため、事業用と比べてリサイクル費用が割高になるとされる。
都は22年9月に解体業者やメーカーなどと協議会を設立し、パネルの取り外しや収集運搬のマニュアルを策定。事業者にリサイクルにかかる費用を補助するなどしている。
松本明子都環境局長は取材に「災害時に停電したときも一定の電力を確保できる」とパネルの利点を強調。「世界の目標である50年のゼロエミッション(CO2排出実質ゼロ)に向け、再エネの割合を高める意味でも非常に有効。都民、事業者の力を借りながら前に進めていきたい」と話した。
太陽光パネル設置義務化 2025年4月から、都内の新築住宅などに太陽光パネル設置を義務付ける。一戸建てなど、延べ床面積2000平方メートル未満の建物は大手住宅メーカーが義務を負う。既存の建物は対象外。日当たりの悪い家や狭小住宅は設置対象から外すこともできる。都が22年5月から1カ月間行ったパブリックコメントには3779通の意見が寄せられ、賛成が56%、反対が41%だった。一戸建てへの義務化は全国初。
東京新聞 2024年6月8日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/332237
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