自民党と立憲民主党は16日、政治資金で使途を非公開にできる「公開方法工夫支出」をめぐり政治改革関連法案から削除することで合意した。自民党は当初案を撤回し、使途の公開義務のない政策活動費は例外を設けずに廃止となる。
企業・団体献金の是非については2025年3月末までに結論を出す。自民、立民両党が歩み寄り、政策活動費の廃止などを盛り込んだ政治改革法案は年内成立の公算が大きくなった。
自民党の坂本哲志、立民の笠浩史両国会対策委員長が国会内で会談して決めた。17日に衆院本会議で可決して参院に送り、21日の会期末までの成立をめざす。
具体的には@野党6会派の政策活動費廃止法案A公明党と国民民主党の第三者機関設置法案B外国人のパーティー券購入禁止などを盛り、工夫支出の規定を削除した自民党の法案――の3法案の成立に向け与野党が協力する。
工夫支出は自民党が政策活動費を廃止する代わりに新設しようとしていたものだ。
自民党はプライバシーや外交機密に配慮が必要な使途は非公開が望ましいとの考えから提案したが、野党は不透明な資金の流れが続くと反対していた。与野党とも政策活動費の廃止で一致していたものの、工夫支出の扱いで立場が割れていた。
企業・団体献金は結論を先送りする。立民は禁止を迫り、自民党は「企業献金が悪で個人献金が善という立場をとらない」として禁止に一貫して反対する。両者の溝が埋まらず、立民の野田佳彦代表は25年3月末までに結論を出すよう求めていた。
自民党と立民は政治資金を監査する第三者機関に関し、公明党と国民民主党が共同提出した法案の内容を受け入れた。同法案は第三者機関を国会に置き、虚偽の記載や記載漏れの訂正を求める権限を付与する。政治資金の流れを幅広くチェックする役割を担う。
自民党は年内に政治改革法案を成立させ、党派閥をめぐる政治資金問題に一定のけじめをつける思惑がある。立民は25年夏の参院選や都議選をにらみ、引き続き企業献金の禁止などを訴えて政治とカネの問題の追及を続ける。
日本経済新聞 2024年12月16日 15:47 (2024年12月16日 20:30更新)
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