「民間のボランティア、能登への通行をやめてください」。
石川県の馳浩知事がこう述べたのは、2024年元日の能登半島地震から4日後だった。
特定NPO法人「全国災害ボランティア支援ネットワーク(JVOAD、ジェイボアード)」の栗田暢之(のぶゆき)代表理事は、この発言を会議室の外で聞くしかなかった。
自治体と支援団体の間に入って調整する「災害中間支援組織」の役割を果たせるのに、災害対策本部に参加させてもらえなかったからだ。
知事の発言は、SNS(ネット交流サービス)でも拡散され、支援団体やボランティアが被災地入りするのに水を差した。
「自分たちが会議にいたら、適切な発信をする手伝いができたはずだ」。栗田さんは今も悔しい思いを持っている。
民間の支援団体やボランティアの間に入る調整役がいなかったことで戸惑いが見られたのは、被災した市町だった。
「この人たちは、一体誰?」
被害が大きかった能登半島北部にある自治体のある職員は、次々に訪れる民間の支援団体に面食らっていた。
「信用していいのか分からず、避難所の運営などをすぐには任せられなかった。災害中間支援組織がつないでくれると思っていた」
だが、地震から1年がたった今も、県の災害対策本部には加われていない。その理由について、県危機管理課の担当者は次のように説明した。
「会議内容は外から聞くことができる」
https://news.yahoo.co.jp/articles/7c17c1647f3825bcd80033db7c23e740f9206d78