焦点:シンガポールのコロナ対策に「穴」、外国人労働者に感染拡大
John Geddie Aradhana Aravindan
[シンガポール 15日 ロイター] - シンガポールは新型コロナウイルスの感染者とその接触者を特定し、監視することで感染拡大を抑制したと、世界保健機関(WHO)から高く評価されている。だが、それは一般国民の話で、社会的立場が弱い出稼ぎ外国人労働者が住む地域では、感染が急速に拡大しつつある。
14日までに確認された国内感染者3252人のうち、1625人はこうした外国人労働者の居住地域と関係がある。このためシンガポール政府の対策には穴があった、と人権団体などから批判が出ている。
人権団体や慈善団体、医療専門家は以前から、密集状態で不衛生な場所に暮らす30万人を超える外国人労働者の間で、何らかの感染症が大規模に広がる危険性に警鐘を鳴らしていた。ところが、新型コロナ発生を受け、政府が当初打ち出したいくつかの対策は、外国人労働者社会を念頭に置いていなかった。
例えば、政府は感染拡大防止のため、一人の医師が複数の病院で勤務するのを禁止。これによって一部の外国人労働者が利用していたボランティアによる医療サービスは人手不足に陥り、急激な業務縮小を迫られた。
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