昔の私なら、そう言ってニヤニヤしてらっしゃるお客様に対して「バレた、そう見えちゃう? やりまくっちゃおうね!」と、やらしげな目線を送っていたでしょう。
当時の店長の口癖は「女優になれよ!」でしたから。
彼の言うところの「女優」は、AV女優と普通の美人女優を足したもの。エロさだけでなく、女らしさや思いやりも演じろということですね。
吉原は、よく言えば演技で夢を与える場所。本気でなくても演じることで本物に見せる様な。でも悪く言えば好きでもない男を「好きよ! 素敵よ!」と騙す場所とも言えましょう。
営みの最中でも、頭のなかでは「お腹すいたな、ランチの出前どうしようかな?」と考えながらも大声で「あ〜んあんあん、ダメ〜!」と大声を出したりするんですから。それでも夢をたっぷり与えたら、お客様は刹那の快楽を得た満足感に浸れます。
でも……ある日気づいたんです。「これじゃダメだ!」って。
お客様が「吉原で遊ぶとその場は大満足だけど、帰り道、俺、何やってんだろうなって。我に返っちゃうんだよね、それが空しくてさ」とおっしゃって、所詮フェイクはフェイク、メッキはすぐに剥げてしまうんたなって。
キャリアを重ねてたどり着いた先は「本物になりたい!」という感情でした。
風俗なんて、確かにたった120分のお付き合い、本物の恋人やパートナーにはなれませんが、それでもそのお時間は本当にその方を「愛したい!」って。
以来、口下手でも心根は優しい、エッチなくせにどこか可愛いげがある、何かにプライドを持っている方、笑顔が素敵……等々。とにかくお客様それぞれの中に「ここが好きだわ!」と言うところを探して、好きを愛に変えて、一生懸命に吉原のお仕事をするように心掛けています。
ですから今なら「やらしそうな女だねー!」と初対面でニヤニヤ言われたら「そうですが?(笑)普通の女性ですよ」と自然体で接します。「やりたがりの女」だから勤めてるわけではなく、お仕事として吉原におりますが、その120分のお仕事の中に「恋の断片」を見つけ出し、それを「愛」に育て、男女の営みを育ませたい。フィジカルにもメンタル的にも、本物の深いエクスタシーを感じられたなら、きっと……その充実感は帰宅の途中で冷めてしまう様なものではないはずです。
私は初心者の講習ではテクニック重視でお教えしますが、キャリアのある方には、フェイクの中にもほんの欠片でもいいから「本物」を見つけて欲しいとお伝えしたいと思っています。セクシーさだけでなく、女の愛と優しさを心の底から与えられる、そんな泡姫を目指して欲しいと。120分の「本気愛」を、ですね。
(文◎久世素子 吉原某店勤務)
以下ソース
https://tablo.jp/archives/24680
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