Don Woligroski氏:
先程も申し上げたとおり私はエンジニアではありませんし,プログラムもJavaScriptをちょっとかじった程度ですから,エンジニアの人たちが話していたことを聞きかじったことしかお話しできません。
その点はお断りしておきますし,また,その2タイトルの話ではなかったかもしれませんが,エンジニアが言うには,ほんのちょっとしたことらしいのです。
「コードの中に変なスイッチがあって,そこが効率を大きく落としているぞ」といった,本当に小さなことが原因だそうです。
いずれにしても,「Ryzenのためにコード全体を変える」などといった,大それた話ではありません。ほんの小さなことがRyzenでフレームレートが上がらない原因になってしまっていることが多いのです。
何しろRyzenはまだ発売されから1か月しか経っていませんから,ゲームもRyzenで実行されることを前提には作られていません。まだまだ(最適化は)これからということですね。
4Gamer:
小さな改善でゲームのフレームレートの10%,20%と上がっていくのであれば,多くのゲーマーはRyzenの今後に期待すると思いますが,
今回最適化を実現した2タイトル以外,そのほかのタイトルでも,小さな改善でゲームのフレームレートが改善すると考えてしまっていいものなのでしょうか。
Don Woligroski氏:
その点についてはいくつかお話ししたいことがあります。
まず,ゲーム側に(Ryzen搭載環境でコード実行効率を上げるための)変更を加えることは比較的容易です。
ずっと大変なのは,何百万行もあるゲームのコードの中から「問題の部分」を探すことのほうなのです。
大切なのは,ゲームの開発者が(最適化に対する)関心を持ってコードを見ることです。ですから,我々AMDとしてもゲームの開発に引き続き関与していきます。
我々が最初に関与したのは,他のタイトルに比べてRyzenで大幅に性能が低下してしまうようなタイトルです。
そのなかでもAshes of the Singularityは,マルチスレッドへ最適化されているタイトルで,Ryzenで高い性能が得られるはずなのに,
なぜか非常に低いフレームレートしか出ないということで,最初に取り組んだという経緯があります。
4Gamer:
そういうことだったんですね。
Don Woligroski氏:
もう1つは,市場全体としてRyzenに対し,ゲーム性能がとても向上するだろうという期待が市場にあったということです。
というか実際の話,決して「遅い」ということはありませんよね?
4Gamer:
ええ。Ryzenにおいて,そこはとても高く評価されるべきポイントだと思います。
Don Woligroski氏:
多くのゲームで60fps以上がコンスタントに得られる。にも関わらず「ゲームで遅い」という評価を世界的に受けているのはなぜかと言うと,競合のKaby Lakeと比べて得られるフレームレートが低いからだと思うのです。
やはり(Ryzenより)Kaby LakeのほうがIPC(=Instructions Per Clock,クロックあたりに実行できる命令数)は若干高いですから,
IPCが制約となるタイトルでは,どうしてもRyzenのほうが遅くなってしまいます。
しかし,その(RyzenとKaby Lakeの)ギャップを縮めることは可能だというのが,AMDの見解です。
4Gamer:
Ryzenの今後に楽観的ということだと思いますが,その根拠はいかがでしょう。
Don Woligroski氏:
おっしゃるとおり,Ryzenの今後に関しては楽観的に見ています。
今後,「Ryzenに対して行う(べき最適化)方法というものが,開発者側の間で見えてくるからです。
また(マルチスレッドに最適化された)DirectX 12やVulkanといったAPIを使ったゲームタイトルも増えてくるでしょう。
そして,(Ryzenと組み合わせる)GPUによって,Ryzenの(ゲームにおける)性能を大きく向上させることもできるはずです。
4Gamer:
ゲームをRyzenに最適化する1つの方法はない,ということですよね。
ゲームタイトルによって直すべき部分はさまざまにあり,「これを直せばRyzenでパフォーマンスが向上する」と行った答えはない。だからAMDとしては今後も継続してRyzenの最適化を進めていくと。
Don Woligroski氏:
そのとおりです。1つの簡単な方法はありません。今後,開発者と私達とで協力を進め,1年くらいかけて少しずつ,Ryzenでの性能を最適化して上げていくことが必要になるでしょう。
http://www.4gamer.net/games/300/G030061/20170425122/#8