財政審 基礎的財政収支の黒字化目標 確実に達成を
財務大臣の諮問機関の「財政制度等審議会」は、日本の財政が先進国で最悪の状況にあるとしたうえで、
国家の信認を維持するためにも、財政健全化の指標である「基礎的財政収支」を
2020年度に黒字化する目標を確実に達成すべきだとする提言をまとめました。
提言では、1000兆円を超える巨額の借金を抱えた日本の財政について「先進国の中で最悪の状況にあり、
財政規律を放棄してしまえば国債の信認を本当に維持できるかは不明だ」と警鐘を鳴らしています。
このため、政府は歳出改革に真正面から取り組むとともに、消費税率の10%への引き上げを約束どおり実施し、
財政健全化の指標である「基礎的財政収支」を2020年度に黒字化する目標を確実に達成すべきだとしています。
そのうえで、来年度(平成30年度)の予算編成では、高齢化で膨らみ続ける社会保障費の伸びについて、
これまでの目安の5000億円よりさらに抑えることを目指すべきとしています。
そして、現役世代と比べ低く抑えられている高齢者の自己負担を増やしたり、価格が安い後発医薬品、
いわゆる「ジェネリック」の割合を高めたりするなど、医療・介護・年金などの分野で制度改革を急ぐよう求めています。
一方、教育の無償化をめぐる議論で、財源を国債で賄う意見が出ていることについて、提言ではいわゆる
「教育国債」は将来世代への負担のつけ回しという意味で「赤字国債」と変わらず到底受け入れられないと強く批判しています。
財政制度等審議会の会長を務める経団連の榊原会長は、麻生副総理兼財務大臣に提言を手渡したあとの会見で、財政健全化について、
「2020年の基礎的財政収支の黒字化は国際公約であるので、しっかり実現すべきだ。そうしないと、国債の格付けなどに反映されかねない」と述べました。
また榊原会長は消費税率の10%への引き上げについて、「基礎的財政収支の黒字化を実現するためにも、
再来年(2019年)10月に予定されている消費税の引き上げは必ず実現しないといけない」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170525/k10010994991000.html