日本を「熱狂なきファシズム」が覆っている
東洋経済オンライン 6/6(火) 16:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170606-00174611-toyo-soci
アメリカで活躍する映画作家・想田和弘。
台本やナレーション、BGM等を排し、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱、実践してきた。
ツイッターのフォロワーは5万人を超え、「#菅官房長官語」が大きな話題に。
ドキュメンタリー映画『選挙』『精神』『牡蠣工場』などが海外で評価される想田に、日本の“今”はどのように見えているのだろうか?
低温ヤケドのようにじわじわと進む全体主義
──「観察映画」の手法で社会を見つめている想田さんから見て、今の日本はどう思いますか?
日本は今、非常によくない状況に進んでいます。
低温ヤケドのようにじわじわと全体主義が進んでいる。僕に言わせれば「熱狂なきファシズム」。
なのにメディアがそれを本気で止めようとはしないことが問題です。
特に大きなメディアが腰抜けすぎる。
小さいメディアには抵抗しているところもありますが、
新聞もテレビも、一番の歯止めとして頑張らなければならないところがその仕事をしていない。
さらに深刻なのは、これでいいんだと思っている人が実は多いのではないか、という点です。
安倍政権があれだけ非民主的な政治をしても支持率が下がらないのをみると、
「民主主義、表現の自由、権力の監視など必要ない」というコンセンサスが、実はメディア内でも一般人の間でも形成されているのでは?
という気がしてなりません。それが根本の問題です。
利点も大きいけれど弊害が大きすぎる
──想田さんはSNSでも積極的に意見を発信しています。
メディア業界では、そうしたネットとの付き合い方も大きな論点です。想田さんはネット時代をどう捉えていますか?
僕自身ネットを多用しますが、利点も大きいけれど弊害が大きすぎますよね。こんなもの開発されなければ良かったと思っています。
ネットは世の中のスピードを加速させ、それが人間の認知や脳のキャパシティを超え、
一つひとつのことを落ち着いて見たり聞いたり、じっくり考えたりすることができない環境になってしまった。
あふれる情報のなかで、人間がオーバーロードしてしまっているんです。
見出しだけしか読まずわかった気になる人が増えている
そのせいで、われわれの集中力は損なわれ、ニュースも見出しだけしか読まずわかった気になる人が増えている。
これはとっても危険な状態です。
中身ではなく装い、一瞬の印象。それによって判断していく傾向がどんどん加速している。
安倍政権が共謀罪を議論するときに『テロ対策』と言う表現にこだわるのは、こうした現代人の弱点をわかっているからだと思います。
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