▼今回のアメリカ合州国ハワイ州オアフ島真珠湾への出張では、サーフィンは諦めていました。
半島危機をめぐって仕事がシビアすぎるし、何より体調が不良で、とてもあの波のなかに入っていく勇気、元気がないと思っていました。
しかし現地で軍人からも勧められるし、仕事が厳しくても早朝なら。眠くてキツいけど時間はなんとか取れるし、何よりもぼくの身体は動かしていないと具合が悪くなるので『いまの体調不良には逆にいいかな。体調が良くなれば仕事も捗(はかど)る』と考えて、ハワイ時間の8月19日の土曜、つまり週末で軍や政府機関はお休みになる日の早朝に、思い切って、海に出ました。
サーフィンはこれが生涯三度目です。
社会人になってからすぐ、つまりとても若い時代からハワイは数え切れないほどに来ているのに、つい最近までサーフィン、波乗りをしようとは一度も考えませんでした。
泳ぎは昔から得意で、海も大好きなのに、なぜかな。
たぶん頭のなかが、真夏でもアルペン・スキーの技術について考えていたり、モータースポーツにいつか戻りたいなと考えていたり、とりあえず珍しく球技のテニスを一時期やっていたり、それからやっぱりアメリカ軍の実は中枢であるハワイでは仕事が忙しくて、気持ちがまったく波乗りに向かなかったのです。
ところが‥わりと最近のこと、いつものように真珠湾のアメリカ太平洋軍司令部(PACOM)を訪ねて、たがいの国益を背負うように議論する出張の最終日でした。
まさか国会議員になるとは夢にも思っていない、民間専門家の端くれのときです。
飛行機に乗る前のわずかな時間に、急に思い立って、ホテルの目の前のサーフスクールでウェットスーツもサーフボードも借りて海に入り、アメリカ人コーチと話しながら見よう見真似でパドリングして(両腕を漕いで)沖合にサーフボードで出て、ちと怖かったけど、さぁ波が来て乗ってみると、意外にも、すぐに立ててしまった。
コーチはアメリカ人らしく細かい指導はゼロ。
いきなりぼくが立ったのを見て、あとで " I was so surprised ! This is the first time to see that success ! So great! " と波の上で何度も叫んでいた。
よく分からないまま立って、サーフ・ボードに乗ったまま、どんどん浜辺が近づいてしまって、一部始終を見ていたらしいアメリカのおばちゃんたちの拍手喝采が聞こえたりして、こりゃ、アルペンスキーヤーには向いているスポーツだなぁと実感したのでした。
自分が、あの堅い競技用スキー靴の中で、両足の10本の指をかなり繊細に動かして板(両スキー)の上のバランスを取っていることも、このサーフ体験で初めて分かったのでした。
こりゃスキーにもプラスだ!
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