小川フミオのモーターカー スズキ、抜群の企画力「フロンテクーペ」
いつまでもとっておきたいクルマというのは、コンセプトがはっきりしたものだ。
この1971年発表のスズキ・フロンテクーペなどは好例。
スズキ自動車の企画力は、この時代から抜群だったのだなあと感心させられる。
このクルマをひとことで表現すると、軽のかっこうをしたスポーツカーとなる。
車高は1200ミリ(現在のポルシェ911より低い)しかない。つまり重心高を低くして操縦性のよさをねらっていた。
加えて37馬力と当時の軽としてはパワフルな2ストローク3気筒エンジンと後輪駆動方式の組み合わせ。
ハンドルの動きにするどく反応して車体が向きを変えるシャープな操縦感覚は大いに話題になったものだ。
もうひとつ、スポーツカー的とおもったのは、当初フロンテクーペは2人乗りとして開発されたからだ。
スタイリングの原案は、当時マセラティのスポーツカーなどで名声を博していたイタリアのジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザイン。
全長が2995ミリという制約のなかでジウジアーロも苦労したかもしれないけれど、上手な出来だと当時から感心している。
スパッと切れたリア(コーダトロンカというスタイル)や躍動感のあるサイドウィンドーなど、とりわけ真横からみると美しく仕上がっている。
しかもいまのスズキの製品に見られるモチーフがあり、ここが原点かと印象ぶかい。
http://www.asahi.com/and_M/articles/SDI2017082321491.html