http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170908/k10011131741000.html
太陽フレア GPSや無線通信への影響に注意を
太陽の表面で「太陽フレア」と呼ばれる爆発現象が起きた影響で地球の磁場が乱れ始めているとして国立研究開発法人の情報通信研究機構は、GPSや無線通信などに影響が出るおそれがあると注意を呼びかけています。
太陽表面の爆発現象「太陽フレア」は、太陽の「黒点」と呼ばれる場所で起きる現象で、今月に入って中規模から大規模のものが複数回発生し、
情報通信研究機構によりますと、これらのフレアによって放出された電気を帯びた粒子や衝撃波が地球に到達し、磁場が乱れ始めているのが観測されました。
情報通信研究機構の石井守室長は「気象庁のデータによると、きょう午前5時ごろから日本でも磁気嵐が発生している。GPSや短波通信への影響が出る可能性が考えられる」と話しています。
そのうえで日本時間の6日午後9時前には、2006年以降起きていなかった大規模なフレアが起きていて、このフレアによる電気を帯びた粒子がこのあと到達する可能性もあることから「磁気嵐が強まるおそれもあるので注意してほしい」と話しています。
太陽フレアによる影響は過去にも起きていて、1989年にはカナダで大規模な停電が起きたほか、2003年には日本の人工衛星が故障したこともあり、ふだんは見られないような低緯度地域でオーロラが観測されることもあるということです。
今回の太陽フレアは、人体には影響がないということです。
関係府省庁が情報収集
菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で、「人工衛星の障害や通信障害、さらには送電線への悪影響が懸念される。総務省の関係研究機関が、
太陽活動の計測結果について、関係業界に必要な情報提供を実施している」と述べました。そのうえで、菅官房長官は「総務省から関係省庁、携帯電話事業者、衛星事業者、航空事業者、放送事業者に対し、今般の太陽フレアの発生により、通信障害や測位精度の低下などの影響が起こりうる旨の注意喚起を行っている。
政府としては、関係府省庁が連携して、引き続き情報を収集しているところだ」と述べました。
野田総務大臣は閣議のあと記者団に対し、「総務省としても、情報通信技術への影響など、今後の状況を調査し、心配している関係者に報告できるようにしている」と述べました。
石井国土交通大臣は閣議のあとの記者会見で、「航空管制では、GPSへの影響が懸念されているが、管制はGPSだけに頼っているわけではなく、
着陸や出発にはレーダーも使って指示を出しているので必要な対策はとれている。十数年前にも同様の爆発があったが、大きな支障はなかった」と述べ、航空機の運航に大きな影響はないという見方を示しました。
小野寺防衛大臣は閣議のあと記者団に対し、「従前から防衛省の通信網はさまざまな対応を取っているが、日本が対象になる時間帯に通信網を含めて影響がないか注意深く監視していきたい」と述べました。