「ずっと独身のあの人は、女性と付き合った経験がないらしいんです」
施設に入居した頃は、女性職員が声をかけると顔を紅潮させ、しどろもどろで返答するか、
聞こえないふりを決め込んで脂汗を流していたほどの純情っぷりで、会話も成り立たないほどだった。
当然、女性介護士による食事や排泄の介助も拒絶し、数少ない男性介護士が順番で
清水さんの世話をしていたのだというが、30代の女性介護士・Y美さんの献身的な介助が清水さんの心を開かせた。
……と、ここで終われば美談だが、現実は明後日の方向へ進んだ。
「Y美さんは既婚で二児のママさん。とにかく気立てが良く、施設の入居者の誰からも人気でした。
清水さんはそんなY美さんから優しくされた事で好意を持ち、ラブレターを出してしまった。
ただ、これも珍しいことではない。清水さんの場合は、その先が予想外でした」
女性の優しさに触れ、還暦直前に甘美な“恋愛感情”が芽生えた清水さん。
はじめはY美さんにお菓子などのプレゼントを持ってきたりする程度だったが、日が経つにつれ、
Y美さんではない介護士が清水さんの介助をしようとすると怒鳴りだし、
Y美さんが休みの日は不機嫌になりモノや入居者に当たり散らし、ほとんど手がつけられない状態になっていった。優しいY美さんも、さすがに清水さんを敬遠しつつあったが、決定的な事件が起きる。
「Y美さんが毛の濃い清水さんにクスリを塗りながら“毛深いですね”とつぶやいたのですが、
翌週には首から下の毛が一本残らず剃り上げられていました。聞けば高齢の母親に手伝ってもらい、
全身を除毛したのだと…。その直後にはY美さんのエプロンが無くなる騒ぎがあったのですが、
清水さんのバックから発見され、広げると汚されていました」
https://www.news-postseven.com/archives/20170521_555784.html